2009年7月28日(火)「しんぶん赤旗」
派遣法改正反対署名メール
個人情報利用明示せず
テンプ・アデコ両社認める
派遣会社が労働者派遣法の改正に反対する署名に応じるよう求める電子メールを、登録した派遣労働者のアドレス情報を使って送り付けている問題で、大手派遣会社のテンプスタッフとアデコがそれぞれ定める個人情報の利用目的に、署名の要請に使うことを明示していないことが27日までに分かりました。本紙の取材に両社が認めました。
個人情報保護法では個人情報取扱規約をつくって利用目的を特定しなければならないと定めており、その範囲を超える目的外利用を禁じています。ところが、両社とも派遣先の紹介に使うほかは、「情報提供」などに使うとしているだけで、署名の要請に使うことは書かれていません。
利用目的に明示していないことが判明したことで、個人情報保護法や労働者派遣法、派遣元指針で禁止されている「目的外利用」にあたる可能性がいっそう強くなりました。
両社は、署名の要請は「情報提供に含まれると考える」(テンプスタッフ広報部)と説明していますが、規約で定める情報提供の具体的項目に署名の要請などは含まれておらず、実際に送られたメールも情報提供とは到底いえないものです。
テンプ社のメールは、題名が「署名活動へのご協力をお願い致します」で、本文は「署名活動のご協力のお願いについてご連絡させていただきました」で始まり、最後は「ぜひ署名活動へのご協力をお願いします」で終わっており、署名に応じるよう求めるものであることは明らかです。
この署名は日本人材派遣協会など業界団体と派遣会社が取り組んでいるもの。「派遣切り」に反省もせず、派遣法改正に反対する社会的に許されないものである上に、優越的な立場を利用して労働者に署名を押し付け、個人情報保護法の目的外利用にもあたるものだと批判の声が上がっています。厚労省も調査に乗り出しています。
テンプ社は、「派遣切り」された労働者が、日産自動車に期間制限違反で派遣されていたと告発。アデコも期間制限違反などで東京労働局が2月に是正命令を出しています。