2009年7月30日(木)「しんぶん赤旗」
主張
介護認定大幅見直し
抑制路線を根本から改めよ
厚生労働省は要介護認定の新基準の大幅見直しを決めました。要介護認定制度は介護保険のサービスを受けられるかどうか、受けられる場合はどれだけ受けられるかを7段階にふるい分け、利用を制限する仕組みです。
4月から厚労省は、いっそう利用を制限する制度改悪をスタートさせました。関係者が強く抗議し、国会では日本共産党が新制度の白紙撤回を求め、内部文書を暴露するなど厳しく追及しました。
政府を追い詰めたのは関係者の運動と日本共産党の論戦です。
決定打となった質問
あまりにも実情とかけ離れた要介護認定の新基準は関係者や家族に衝撃を与えました。
例えば―。「座位保持」の調査項目では、「10分間程度」の保持ができるかどうかという基準を「1分間程度」に。「移動」の項目では重度の寝たきりで過去1週間移動の機会そのものがない場合も「介助されていない」と判定。「買い物」の項目では、代金を払うなどすれば余分なものをいっぱい買い込んでいても「できる」と判定―。
こんな基準に変えれば、要介護の認定が引き下げられ、必要なサービスを受けられなくなることは目に見えています。実際に、厚労省が4、5月に実施した全国調査で、介護保険サービスを受けられない「非該当」と認定された人の割合は、前年の3倍近くにも及んでいます。前年より軽度と認定された人も増えています。スタートする前から多くの介護関係者の批判が寄せられていたにもかかわらず、新制度の実施を強行した自公政府の責任は極めて重大です。
小手先の手直しで済ませようとしていた厚労省を追い詰めた決定打は、日本共産党の小池晃参院議員が内部文書を暴露して追及した国会質問です。
4月2日の参院厚生労働委員会で小池議員が明らかにした内部文書は、「認定の適正化」などで介護給付を200億円から300億円減らせると明記しています。軽度者の割合を大きく増やす方針も書き込まれていました。厚労省は「要介護認定」制度の改定で「給付費抑制の意図はない」と説明してきましたが、まさに給付費の削減そのものが目的であったことを証明する質問です。
問題の内部文書について舛添要一厚労相は次のようにのべています。「2200億円(の抑制路線)を含め、政府全体の方針として社会保障を切り詰めていこうという議論の中で役人がシミュレーションした」
社会保障の抑制路線は国民の暮らしに大きく深いつめ跡をしるしています。抑制路線をやめ、つめ跡を修復し、社会保障の拡充へ転換することが求められます。
必要な介護を保障して
関係者や家族の願いは必要な介護を安心して受けられる制度にしてほしいということです。そのために日本共産党は、28日に発表した総選挙政策でも制度改悪の白紙撤回、サービスの利用を制限する要介護認定制度や利用限度額そのものの廃止、現場の専門家の判断で必要な介護を提供できる制度への改善を求めています。
介護保険制度は保険料・利用料が高すぎ、施設整備も遅れている上、厳しい利用制限による「介護とりあげ」も進められてきました。安心して利用できる制度への抜本見直しが必要です。
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