2009年8月1日(土)「しんぶん赤旗」
国民年金 納付率62.1%
過去最低 失業者増など影響
社会保険庁は31日、国民年金保険料の2008年度納付率が、現行制度が始まった1986年度以降で最低の62・1%にとどまったと発表しました。前年度に比べると1・9ポイントの落ち込みで、低下は3年連続となります。
景気悪化に伴う失業者の増加で、厚生年金から移行する被保険者が増加したことなどが影響しました。社保庁は、年金記録問題を最優先に対応したため、強制徴収が徹底されなかったと説明しています。
解説
不安の解決 政治の責任
国民年金保険料の納付率が過去最低となった大きな要因は、厳しい経済状況のもとで、失業者、不安定雇用の労働者、経営難に陥った自営業者などが増え、保険料を払えない人が増加したことにあります。
国民年金保険料は一律月1万4660円(2009年度)。今後も17年度の1万6900円まで、毎年上がり続けることになっています。減免制度があるとはいえ、国民にとっては重い負担です。
しかも、25年間納めなければ、年金は一円も受け取れない仕組みになっているため、保険料納付の意欲をそいでいます。
この事態を放置すれば、将来、大量の無年金・低年金者が生まれてしまいます。
社会保険庁は、徴収作業の民間委託の拡大や、未納者への強制徴収の強化などで収納率のアップを図るとしていますが、効果は期待できないばかりか、かえって問題を悪化させかねません。
とくに、徴収業務をクレジット会社など民間企業に委ねることには、人権無視の取り立てが横行しかねないことや、国民のプライバシー保護の観点からも問題があります。
高い保険料など年金制度の仕組みをそのままにして、徴収業務ばかり強化しても限界があります。
日本共産党は、受給条件を「25年以上」から「10年以上」に引き下げることや、全額国庫負担による最低保障年金制度の創設などを主張しています。こうした対策を早急に講じ、国民の年金への不安を払しょくすることが、政治の責任として求められます。(坂井希)
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