2009年8月1日(土)「しんぶん赤旗」
農水省の「ヤミ専従」問題をどう考える?
〈問い〉 農水省の「ヤミ専従」が問題になっています。日本共産党はどう考えますか。(大阪・一読者)
〈答え〉 農林水産省は7月17日、同省の職員らが勤務時間中に無許可で労働組合活動をしていた「ヤミ専従」問題で、1980年にまでさかのぼって1237人を停職や減給などの処分にしたと発表しました。
国家公務員が勤務時間中に許可なく組合活動をすることは、国家公務員法第101条の職務専念義務に反する行為であり、許されないものです。日本共産党は、こうした違法行為に対しては、これまでもあってはならないものだと厳しく批判してきました。見逃せないのは、「ヤミ専従」問題は、農水省当局の黙認により労使一体で行われてきたものであり、同省当局にも重大な責任があることです。それは、「ヤミ専従」問題を調査してきた弁護士らを含む「第三者委員会」の指摘により、歴代の直属上司や所属長、本省の地方課長らも責任が問われ、処分されたことに示されています。
本来、公務員労働者は、憲法第15条に規定された、国民奉仕の職務の遂行者であり、汚染米をチェックするなど国民の立場に立った行政の担い手としての任務をもっています。その職務を果たすために必要な労働条件と労働基本権が保障されなければなりません。ところが、労使一体・癒着の「ヤミ専従」を行っているようでは、国民から指弾されるばかりか、「全体の奉仕者」としての職務を遂行することはできません。
農水省の職員と労働組合は、再発防止に全力をつくし、国民の期待にこたえ、「全体の奉仕者」の立場で公正で民主的な職務遂行にあたり、そのために必要な労働条件と権利の獲得のために活動すべきです。
政府・当局は、「ヤミ専従」問題で明らかにされた自らの責任を厳しく反省し、違法行為の根絶に全力をあげるべきです。今回の問題を悪用し、組合掲示板の撤去や適法な交渉の制限など公務員労働者と労働組合の諸権利をいっそう制限する動きがありますが、絶対に許されません。国民の信頼回復にこそ力をつくすべきです。(佐)
〔2009・8・1(土)〕