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2009年8月3日(月)「しんぶん赤旗」

主張

雇用悪化

大企業の無法を正してこそ


 国民の暮らしを支える大もとの雇用が急激に悪化しています。

 7月31日発表の政府統計で、6月の完全失業率は前月より0・2ポイント上がって5・4%となりました。過去最悪だった小泉内閣当時の5・5%に迫っています。

 完全失業者は348万人に達しました。前年同月と比べて過去最悪の83万人の増加です。

 6月の有効求人倍率は前月を0・01ポイント下回る0・43倍となり、2カ月連続で過去最悪を更新しました。

「使い捨て」許せない

 「自己都合」の離職が減った一方、リストラによる失職は一気に倍増して121万人に上っています。非正規雇用の切り捨てが増え続け、厚労省の調査でも昨年10月から今年9月までに職を失う人は22万9170人に達します。

 「派遣切り」「期間工切り」の先頭に立ったのはキヤノンやトヨタなど財界のトップ企業です。景気がいいときは正社員を減らして派遣や請負を増やし、搾れるだけ搾り上げて、景気が悪くなったらモノのように「使い捨て」にするやり方は絶対に許せません。

 警察庁のまとめによると今年前半の自殺者は1万7076人で、過去最悪の水準となっています。

 自殺が急増したのは、政府が労働者派遣の原則自由化など雇用の規制緩和を推進した1990年代の後半からです。リストラで雇用を削減し、非正規雇用への転換を進める財界と、財界に従って「構造改革」路線でリストラを後押しする政治―。両者が表裏一体となり、リストラの規模が大きいほど株価が上がる異常な世相を生み出し、一人ひとりを追い詰めてきました。非正規の従業員なら失業したら住む家も失う、正社員でもまともな転職先はなかなか見つからない、会社に残っても過労死と隣り合わせの長時間労働です。

 雇用の破壊がますます多くの人を死に追いやり、家族や友人に癒えない傷を負わせています。

 こんな社会に未来はないし、ひいては企業も立ち行かなくなることは明らかです。

 雇用統計の公表と同じ日に、麻生太郎首相が自民党の総選挙公約を発表しました。麻生首相は「私が訴えたいことは責任力だ」と強調しています。

 雇用の急激な悪化は天災ではなく、自民党も公明党も善意の第三者などではありません。財界の言いなりに雇用の安定を破壊し、暮らしの土台を壊してきた政治の責任が問われています。

 責任が大事だと言うなら、まず自らの重大な責任を自覚し、心から反省すべきです。自民党は総選挙公約で雇用の「安心」を守ると宣伝しています。しかし、大企業から献金を受け取り続け、無法な「非正規切り」・リストラをやめさせる一片の意思も気概も持たない政党に、雇用の「安心」を語る資格はありません。

財界にモノが言える党

 日本共産党は「雇用を守れ」「働いてきた人たちを路頭に迷わせるな」と、日本経団連にもトヨタやキヤノンにも堂々と申し入れてきました。いまこそ、財界・大企業にはっきりモノが言える政党を伸ばす必要があります。

 「財界・大企業中心の政治」を正して人間らしく働けるルールをつくることなしに、暮らしと経済を守ることも、企業そのものの未来を開くこともできません。



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