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2009年8月3日(月)「しんぶん赤旗」

農業壊す日米FTAの締結

実は民主党の“持論”


 民主党がマニフェストで「米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結し、貿易・投資の自由化を進める」と明記したことが農業関係者を中心に衝撃を与えています。

広がる批判に声明出したが

 自由貿易協定(FTA)とは協定を結んだ国を対象として、関税の引き下げ・撤廃などで優遇する仕組みです。FTAによって米国の安い農産物が日本の市場に流入すれば、米や牛肉などの価格の暴落は避けられず、農業に壊滅的な打撃を与えることは必至です。

 民主党は「日本の農林漁業、農山漁村を犠牲にする協定締結はありえない」とする緊急声明を出し、広がる疑問、批判の声への対応に追われています。

 しかし、貿易自由化は、今度のマニフェストで突然出てきたものではなく、民主党の一貫した路線です。

 2006年末に小沢一郎代表(当時)のもとでまとめられた「政権政策の基本方針」では「真の日米同盟の確立を促進するために、米国と自由貿易協定(FTA)を早期に締結し、あらゆる分野で自由化を促進する」と明記。07年の参院選マニフェストでは「農産物の国内生産の維持・拡大と、世界貿易機関(WTO)における貿易自由化協議及び各国との自由貿易協定(FTA)締結の促進を両立させます」としていました。08年版の政策集でも同じ文言を掲げています。

 今回の総選挙マニフェスト発表の直前にまとめた09年版政策集でも「米国との間で自由貿易協定(FTA)を推進し、貿易・投資の自由化を進めます」としていました。ここで「推進」とされていたのが、マニフェストで一気に「締結」という表現に変えられたため反響が大きくなったわけですが、流れの中で見れば、同党の基本的立場を示したものです。

 自由貿易協定の早期締結を求めているのは米国の巨大農業資本と日本の大企業です。米側は日本の農産物市場の開放を求め、日本の企業は、農産物市場の明け渡しと引き換えに工業製品の輸出における関税引き下げのメリットを享受したいというわけです。

最大の責任は自民党農政に

 自民党はこの問題で「日本農業を売り渡すに等しい」(声明)などとして民主党攻撃を強めています。

 しかし、自民党にそんなことを言う資格はありません。アメリカ・大企業言いなりで、食料自給率40%という深刻な状況に、日本の農業を突き落としてきた最大の責任は自民党農政にあります。広範な農業従事者の批判を無視して、農畜産物の関税が焦点であるオーストラリアとのEPA(経済連携協定)交渉を推し進めているのは自公政権です。(中祖寅一)



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