2009年8月3日(月)「しんぶん赤旗」
環境・安全へ配慮はどうか
中国「成長の質」論議再燃
無駄な事業批判も
中国で経済成長の「質」をめぐる論議が再燃しています。景気対策で大型公共事業が増えるなか、環境や安全への配慮がおろそかにされることへの警告が共産党幹部から相次いでいます。(北京=山田俊英 写真も)
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最大の輸出拠点、広東省のトップ、汪洋・共産党省委員会書記は最近開かれた会議で「橋を建設するのも、壊して再建するのもGDP(国内総生産)だ。大量の社会的財産を浪費して形成された財産は何なのか」と無駄な公共事業を批判しました。
重慶市のトップ、薄煕来・共産党市委員会書記もやはり会議で「命を犠牲にして得られた財産などただでもいらない」と安全生産の重要性を強調しました。ともに党の政治局委員でもある両氏の発言は、数字ばかりを追う旧来型の成長路線復活への警告として国内メディアで注目されました。
もともと胡錦濤政権の経済政策は持続可能な発展を目指すことです。中国経済がエネルギー多消費の粗放型であるとの認識に立ち、その構造改革を追求していました。
しかし、米国発の金融危機が中国の実体経済を冷え込ませるようになったため、中国政府は4兆元(約56兆円)の大型景気対策を打ち出し、鉄道、道路の建設を急ピッチで進めています。その効果で4〜6月期のGDPは対前年同期比7・9%と今年の目標8%に近づきました。
しかしその一方「一部の地方経済が『エネルギー多消費、汚染、資源浪費型』発展の轍(てつ)を踏むのではないか」(新華社論評)との危惧(きぐ)が広がっています。「中国経済の真の回復は、持続的な個人消費が政府の需要にとってかわることにかかっている」(同)との指摘も出ています。
温家宝首相は7月25日から27日にかけて吉林省で国有企業を視察し、「経済構造の高度化をさらに進めなければならない」と強調しました。
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