2009年8月5日(水)「しんぶん赤旗」
日本農業を壊滅に導く日米FTAに断固反対する
志位委員長が会見
|
日本共産党の志位和夫委員長は4日、遊説先の富山市内で記者会見し、日米FTA(自由貿易協定)問題について次のように述べました。
一、日本農業をどう再生するかは総選挙の大きな争点だ。日本共産党は、第一に、農産物の価格保障と所得補償を組み合わせ、農家の方々が安心して農業に励める日本をつくること、第二に、国境措置を維持・強化して、歯止めのない輸入自由化にストップをかけることを提案してきた。同時に、米価の大暴落の危険性が高まっているもとで、いまただちに政府が決めている備蓄米100万トンまでの緊急買い入れが必要だということも求めている。
一、いま急浮上してきた日米FTAの問題で、日本共産党は総選挙政策で、「わが国が諸外国と結ぶFTA・EPA(経済連携協定)について、日本の農業と食料をはじめ国民の利益に重大な打撃をあたえるものには反対します」と述べている。この見地から、わが党は日米FTAにきっぱり反対する。
また安倍政権のもとで交渉が開始されている日豪FTAにも反対を貫く。交渉の中止を求める。
米を含むすべての農業が日米FTAの中心課題
一、日米FTAを考える際に、二つ大事な点がある。
第一は、米を含むすべての農業が日米FTAの中心課題とされているということだ。
2007年2月16日にアーミテージ元米国務副長官らの超党派グループが発表した「日米同盟に関する報告書」(第2次アーミテージ報告書)で「米を含むすべての部門を交渉対象として、農業は米国と日本のFTAの中心になれるし、なるべきである」と、農業こそ日米FTAの中心だということをアメリカ側ははっきり述べている。
さらに、この報告書の直後、在日米国大使館のハンス・クレム経済担当公使は、日本経団連で行った講演(07年4月25日)で次のように述べている。
「FTAまたはEPAに向けた交渉を、政治的に実現可能なものとするためには、…農業を含まないわけにはいきません」。そしてFTA推進を求めている日本経団連に対して「日本経団連は、アメリカとのFTA締結のため、日本の農業分野の改革の必要性を日本の政治指導者に納得させる用意ができていますか」と、その覚悟まで求めている。
日本の米は82%激減・大打撃を受ける
一、第二は、この日米FTAが仮に締結されるとなると、とりわけ米が壊滅的な打撃を受けることになるという問題だ。
日米経済協議会の委託研究「日米EPA 効果と課題」と題するリポートが08年7月に出されているが、このリポートでは日米EPAの経済効果を分析し、「関税率が比較的大きく保護された産業において、FTAによる自由化に伴う生産縮小が観察される。日本においては、コメ、穀類、肉類で生産減少が顕著である」と結論づけている。具体的な減少量として、米で82・14%、穀物で48・03%、肉類で15・44%が減少するとしている。
すなわち、日米FTAを締結すれば、日本農業の土台を支える米が文字通り壊滅的な打撃を受けることになる。この事態に照らして日本共産党は日米FTAに断固反対し、それを許さない防波堤となってがんばりたい。
民主の「FTA締結」方針は絶対に容認できない
一、この点で、民主党がマニフェスト(政権公約)に「日米FTAの締結」と述べていることは、絶対に容認しがたいことだ。まさに日本の農業、とりわけ米を壊滅に追い込むということにならざるをえない。民主党は、農業関係者のきびしい批判を受けて、「農業は守る」と言い訳をしているが、すでにのべてきたように農業・米を除外した日米FTAの締結などありえないことだ。
自民は日豪FTA交渉中止、自由化路線への反省を
一、同時に、自民党が、民主党のマニフェストに「日米FTAの締結」を掲げたことをとらえて、「日本の農業、農村社会を崩壊に導くものだ」と批判しているが、そういう批判をするならば自民党にもいいたい。
北海道だけでも1兆3700億円の損失を被る日豪FTA交渉はただちに中止すべきだ。さらに牛肉、オレンジをはじめ、次つぎと輸入自由化をすすめ、米についてはまったく必要でないミニマムアクセス米をどんどん輸入し、汚染米の問題までひきおこしてきた自らの失政に対する反省が必要だ。