2009年8月5日(水)「しんぶん赤旗」
要介護認定制度の大幅見直しはなぜ?
〈問い〉厚生労働省が新しい要介護認定制度の大幅見直しを表明しました。日本共産党はどう見ますか。(神奈川・一読者)
〈答え〉要介護認定の新制度(4月実施)は、導入後わずか4カ月で異例の大幅見直しに追い込まれました(7月28日)。認定が軽くなり、「必要なサービスを使えなくなる」と批判を浴びた厚生労働省が、新制度による認定軽度化を認めざるをえなくなったものです。
実際、新制度による4〜5月の認定結果は、「非該当」が従来の3倍近くに増えました。「非該当」と認定されれば介護保険の給付が受けられない、究極の「介護切り」です。
厚労省は、見直しによって認定者の割合が従来の水準に戻ると説明し、見直し後の検証も表明しました。
介護関係者の運動と日本共産党の追及で、認定全体が一挙に軽度化する異常事態は許されない状況をつくり出したといえます。社会保障費削減に狂奔した自公政権による認定軽度化の狙いを押し返しました。
新制度に対しては疑念が深まる過程で、要介護認定制度そのものの持つ重大な意味が浮かび上がりました。決定的な役割を果たしたのが、日本共産党の小池晃参院議員が暴露した厚労省の内部文書でした(4月2日)。
文書には、要介護2・3が増えているので「制度改正により…認定者を適正な分布に戻す」などと、軽度者を増やす狙いが明記されています。政府が自らの都合で認定者数を調整する道具として認定制度を使っている実態が明らかになったのです。
今回見直されたのは、利用者から聞き取り調査を行う際の基準です。介護関係者の批判と運動を反映したものですが、2次判定を行う審査会の裁量の縮小は不問に付されたままです。審査会の裁量を制限してコンピューターによる判定を変えにくくすれば、政府にとっては認定割合の調整が容易になります。
日本共産党は、新制度の白紙撤回を求めます。また、給付費を抑制する道具である認定制度を廃止して、専門家の判断で必要な介護を提供する仕組みをめざします。(恒)
〔2009・8・5(水)〕