2009年8月9日(日)「しんぶん赤旗」
英国防省の広報官 政府を告訴へ
イラク戦で遺族・メディアにウソ
国が強要、病気に
【ロンドン=小玉純一】英国防省広報官が、イラクやアフガニスタンで戦死した英兵の遺族に虚偽を述べるよう強いられ健康を害したとして政府を告訴する構えを明らかにしました。英メディアが5日報じました。
広報官はジョン・ソールズベリベイカー氏(62)で、国防省がストレスが原因の病に適切に対処しなかったとして雇用審判所に今秋訴える予定。国防省スポークスマンは現段階ではコメントしないとしています。
同氏には公務員として守秘義務が課せられています。パートナーの女性クリスティン・ブルック氏が英メディアに、ソールズベリベイカー氏の精神的苦悩を明らかにしました。
それによると、ソールズベリベイカー氏はイラク戦争が始まった2003年に英北東部で広報官となりました。メディアに応対することや、遺族からメディアを遮断し遺体の帰還と葬儀にあたり遺族を支援しました。
配備された軍用車両では路上爆弾から兵士の安全を守れないにもかかわらず「守れる」とメディアに話してきたことに責任と罪を感じるようになります。一方で、国防省からは確かな証拠が出るまで虚偽を言うよう求められていました。
葬儀に行き遺族と話すたびに真実を述べていないと感じるようになり、狭心症に苦しみ心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されました。07年夏、病気休暇となりました。
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