2009年8月12日(水)「しんぶん赤旗」
築地移転
地質試料廃棄するな
東京地裁 水産業者ら都を提訴
東京都が築地市場の移転予定地としている東京ガス工場跡地(江東区豊洲)が高濃度の有害物質で汚染されている問題で、築地市場の水産業者や都民が11日、同地区の地質ボーリング調査の試料を廃棄しないよう都に求める訴訟を東京地裁に起こしました。
豊洲移転予定地では環境基準の4万3000倍のベンゼンや930倍のシアン化合物などが検出され、都が「水を通さず汚染が広がらない」とした地層データの欠落も発覚。都は都民の強い批判を無視して、ずさんな土壌処理策をまとめ、2014年12月に新市場を開場する方針です。
原告は、都が07年夏から昨年8月にかけて予定地で行った土壌のボーリング調査について、得られた試料が廃棄されれば、土壌処理策の科学的な検証が不可能になり、「見落とされた有害物質が放置され、都民の生命、身体の安全が害される」と批判しました。
提訴後に行った記者会見で、築地市場の水産仲卸業者らでつくる「市場を考える会」の山崎治雄代表は「食の安全を守るために頑張ってきた。これからも豊洲移転阻止に力を合わせていく」と発言。仲卸業者の女性(60)は「なぜ生鮮食品を扱う市場が、有害な場所に行かねばならないのか」と移転に固執する都を批判しました。