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2009年8月22日(土)「しんぶん赤旗」

「建設的野党」として国民の願い実現に力尽くす

テレビ朝日系「報道ステーション」 志位委員長語る


 日本共産党の「建設的野党」としての立場に話題が集中した20日放映のテレビ朝日系の「報道ステーション」。志位和夫委員長と司会の古舘伊知郎氏とのやりとりを再現すると――。


新しい政権への対応は 

派遣法改正・後期高齢者医療制度廃止…国民の願い実現へ協力したい

 古舘 志位さんは演説などで、今回、自公政権を倒すときがやってきたということを、強調されておりますね。そうすると建設的野党として、これからは民主党とも賛は賛、否は否ということでいくわけですね。

 志位 そうです。私たちは自公政権退場ということを訴えてきましたけれども、もう圧倒的に「(自公政権)ノー」の流れが起こっていると思いますね。ですから、国民のみなさんは、自公政権後に新しい政治をどうつくるかに、関心が移っていると思います。

 そのときに、私たちは、おそらくできるであろう民主党中心の政権に対して、良いものは協力する、悪いことはきっぱり反対するという立場で現実政治を前に動かす、こういう仕事をやりたい。

 そして、同時に、日本の政治のゆがみのもとにある「財界中心」とか、「軍事同盟中心」、このゆがみをただして、「国民が主人公」の新しい日本をつくっていくという、この仕事もやりたい。

 古舘 もし民主党が政権をとったときには、賛は賛、否は否という部分で、具体的にいいますと、賛の部分でいうと「子ども手当」とか、後期高齢者医療制度廃止、あとは時給(最低賃金)の1000円への引き上げ、こういったところで、とにかく力強く連携していくということですか。

 志位 そうです。いくつかありますね。労働者派遣法の改正、後期高齢者医療制度の撤廃、あるいは障害者自立支援法の「応益負担」の廃止、高校の授業料の無償化、生活保護の母子加算の復活、こういう問題は、かねてから私たちは主張してきましたけれども、国民のみなさんの要望があって、民主党のマニフェスト(政権公約)にも共通する方向が書いてありますから、ぜひこれは協力して、新しい国会で実現させたいと思っています。これは、協力できる部分ですね。

 「そのあたり、大きく共産党も変わってきた部分があると思うんです」とコメントする古舘氏。小選挙区での候補者を、152人に絞ったことも話題となり、コメンテーターの星浩・朝日新聞編集委員が「(共産党が立候補しない選挙区の)共産党支持者が、(自民、民主)どちらに投票するのかに非常に関心をもっている」と質問。志位氏は「小選挙区の候補を擁立していないところは自主投票という方針は変わりません」と答えたうえで、「否」の部分についてつぎのようにのべました。

民主に賛成できない部分は 

日米FTA・比例削減に絶対反対、高速道路無料化の問題点ただす

 志位 先ほど賛成する部分についていったんですけれども、賛成できない部分もあるんですよ。

 たとえば、(民主党のマニフェストで)「日米FTA(自由貿易協定)の交渉促進」といっている。これをやりましたら、農業とコメがつぶされてしまいます。

 古舘 自由貿易協定ですねえ。

 志位 これは、農家の方々、国民のなかからも、とても大きな批判が起こっています。これは絶対に同意できない。

 それからたとえば、衆議院の比例定数を半分にしてしまうと(公約している)。(現行の選挙制度で)一番民主的な部分が削られますと、国民の多数の声が届かなくなりますから、これも賛成できません。

 古舘 高速道路の無償化も、その分のお金があったら、福祉に使えと。

 志位 そうなんですよ。これは、問題点を正さなければならない部分だと思っているんです。あの高速道路の無料化の問題、税金の使い方の優先順位としていいんだろうかと。あるいは地球環境のことを考えた場合いいんだろうかと。私は、優先順位としては、福祉を優先させるべきだと(思います)。高速道路を無料化したら、だいたい1・3兆円の税金がかかるわけです。1・3兆円ありましたら、たとえば私たち、国の制度として75歳以上の高齢者と子どもの医療費を無料にしようということをいっていますが、ちょうど1・3兆円でできるんです。こちらの福祉の方に優先してお金を使うべきだというのが私たちの考えなんです。

 古舘 いま福祉にも本当にみなさん関心があるし、将来不安、いまの不安を感じていらっしゃる。そこにたいして、共産党はどういう政策をズバリ掲げてくれるのか興味深く見守っている方もいらっしゃると思うんですね。

軍事費どう削る

米軍「思いやり予算」2800億円、海外派兵費用など1兆円は削れる

 古舘氏は、「共産党らしいこと」として軍事費削減の中身を質問。つぎのようなやりとりになりました。

 古舘 もう一つ、先ほど出ました軍事のことなんですけれども、とにかく無駄な予算を絞るっていう共産党らしいことをいっているなかに、大企業へのゆきすぎた減税を増税するんだっていう、お金持ちの人たちから、税金を取るんだっていっている。いかにも共産党らしい。それにプラスですね、軍事費。5兆円ちょっとありますか。この軍事費から1兆円削るっていっている。どこを残して、どこを削るといっているのか、ぜひ聞きたい。

 志位 まず、軍事費の中でも、米軍への「思いやり予算」、だいたい(年間)2800億円です。これは、条約上まったく出す義務のないものですから、これは廃止する。

 自衛隊の本体にかかる税金にかかわっては、たとえばインド洋に派兵してますね。こういう海外派兵費用、これだってバカにならないですね。海外派兵費用を削る。それから海外派兵用の武器の購入、たとえば「ヘリ空母」とか、こういうものはやめる。そういうお金をまず率先して削っていく。

 それから本当に、使い道がまったく分からない90式戦車、これをまだ買っているんですね。こういう本当の浪費としかいいようのないものを削っていくと、だいたい1兆円は削れるというふうに私たちは考えています。

オバマ政権との関係は

核廃絶など前向きの変化は後押し、日米関係は正していく

 古舘 とにかく福祉、貧困対策に少しでもまわそうということなんでしょうが。「思いやり予算」等々の話も出ましたが、一方でアメリカとの関係について、聞きたいんですが、(4月の)プラハ演説で(アメリカの)オバマ大統領が核廃絶を訴えた。それに共鳴された志位さんが書簡を送った。それに対して、オバマ大統領からも感謝の手紙が届いた、ということで、共産党とアメリカのオバマ政権との話し合いのルートができたと(いうことですね)。マニフェストなどをみますと、その横に「日米安保絶対反対」と出ているわけですね。そのあたり、どういう日米関係でいくんですか。

 志位 これは、アメリカがいま大きく前に向かって変化している部分と、変化していない部分と、やはり複眼で見る必要があると思っているんですね。

 明らかに核兵器廃絶の問題のプラハ演説というのは、私は勇気ある発言だと思いますね。アメリカという国は、“広島、長崎に原爆を落としたためにたくさんの米兵の命が救われた”と、間違った神話がいまだに流布されている国で、大統領があれだけのことをいった。これは勇気ある発言ですから、私たちはそれは大いに後押しをする。これは被爆国の政党として当然の責任だと思ってやりました。

 しかし変わっていない部分はある。日米関係は、残念ながら変わっていません。こういう、たとえば基地の問題、海外派兵の問題、ここは変化が今のところ見られない。ですから、これはぜひ変えていく方向で、力を尽くしていく。

 古舘 ルートができたんで、アメリカとも是々非々でいくと。

 志位 複眼で見て、そしていい方向については後押しするし、また協力をする。しかし、私たちとして是認できない部分はどんどん意見をいうと、こうしていきたいですね。

“町工場は日本の宝”

緊急融資の拡大とともに、休業補償など直接支援を

 古舘 もう一つマニフェストをみていて、おっと思ったのは、中小企業、零細企業の対策なんです。そこで信用保証協会の枠が、もう第何次補正予算ということで、何回も信用保証額が拡大になったにもかかわらず、まだ信用保証枠がつかない。苦しんでいらっしゃる方がいっぱいいる。その通りだと思うんです。私もいろんなところでいくつか取材させてもらっても、本当に健全な企業で一時のつなぎ融資だけ、これだけの融資がほしいといってもうまくいかない。それは銀行をとおしてお金をといったとき、貸し渋っている、こういう実態を聞きます。このあたり、共産党としてはどのぐらい力強く(対策を)すすめていくか。

 志位 信用保証協会の「緊急保証」の枠があるんですけれども、もともとこれは、いろいろな資材の高騰に対応するところから始まったために、業種指定があるんです。いま業種指定が、まだ781(業種)しかできないんです。

 古舘 8割ぐらいになっていますかね。

 志位 それがあった上に、審査がまたなかなか通らない。3分の1ぐらいは、審査の段階で減額されたり、拒否されたりする。ですから、この業種指定を外して、全業種を指定にする。そして、審査ももっと緩和して、本当に使いやすいものにしていかないとだめだと(思います)。

 それから、もう一点言わせていただきたいのは、中小企業の問題で、融資も大事ですけれども、それだけじゃ足りないんですよ。私たち、たとえば(東京の)大田の町工場のみなさんとお話ししても、仕事がないわけですよ。だから、もう休業せざるをえないんですね。ですから、休業補償が必要だと(考えます)。あるいは、町工場の方々で、工場を借りている方がいらっしゃるんですね。家賃を払わないとならない。家賃の補助が必要だ。そういう直接支援をいまやらないとね、みんなつぶれていっちゃうんですね。

 私は“町工場は日本の宝”だと思っています。町工場は、大田にしたって、(大阪の)東大阪にしたって、新幹線だってロケットだってみんな作るでしょう。ものすごい高い技術を持っている。本当に宝です。その宝が、いま救わなければ、本当に壊れていってしまうわけです。今度景気がよくなったときに、もう中小企業はなくなっちゃったと(なる)。絶対に、これは政治の責任で、そういう直接の支援が必要だと思います。

 古舘 もし、民主党政権となった場合に、共産党はそのあたりの直接支援、これの強化と、それから間接支援に戻れば、やはり銀行が貸し渋るというのは、原因がいくつかあるはずなんで、銀行も問題だし、銀行以外の政府の働きかけの問題も両方あると思いますんでね。

 志位 そうです。三大メガバンクだけで、2・6兆円も、この間(1年間)資金を中小企業から引き揚げているんですよ。これは政府がきちんと指導して変えさせないと、この貸し渋り、貸しはがし(をただすの)は、これはやっぱり政府の責任なんです。そこらへんが新しい課題になってくると思います。

 古舘 はい。「たしかな野党」から「建設的な野党」にキャッチフレーズが変わってきたところで、共産党、がんばっていただきたいと思います。

 志位 はい。がんばります。



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