2009年8月22日(土)「しんぶん赤旗」
大企業は応分負担を
根拠ない「海外に逃げる」
「法人税(増税)の話をされるが、それでは会社が外に出て行き、雇用を悪い状況に追い込む」(8月11日、日本テレビ系で放映の党首討論)。麻生太郎首相はこう述べて、日本共産党が主張する大企業に応分の負担を求めることに反対しました。
負担重くない
その場で日本共産党の志位和夫委員長が「日本の法人の負担のほうが(欧州などと比べて)低い」と反論したように、麻生首相の言い分は成り立ちません。2007年に政府税制調査会(首相の諮問機関)に提出された資料によれば、法人所得課税と社会保険料について日本の企業負担(05年度)は、自動車製造業ではフランスの73%、ドイツの82%、エレクトロニクス製造業ではフランスの68%、ドイツの87%でした。特に、日本は社会保険料の企業負担が軽いことが特徴です。
また、経済産業省の委託調査「公的負担と企業行動に関するアンケート調査」によると、生産拠点の海外移転を計画している企業に理由(複数回答)を聞いたところ、「税負担・社会保障負担」は5番目。一方、海外に進出している企業に、仮に現行約40%の法人実効税率が30%程度まで引き下げられた場合、「国内回帰を検討するか」と聞いたところ、「検討しない」が7割にのぼります。「企業に負担を求めると海外に逃げる」という言い分に根拠はありません。
立場問われる
そもそも、大企業が「法人税を下げないと海外に移転する」などと脅しをかけることは許されるのでしょうか。
CSR(企業の社会的責任)という言葉が注目されています。企業は利益を追求するだけでなく、社会に貢献しなければならないという考え方です。日本経団連もCSRの指針として「企業行動憲章」を制定しています。そこには「『良き企業市民』として、積極的に社会貢献活動を行う」などが掲げられています。しかも、大企業は日本で企業活動を行うことで空前の利益を上げてきたのですから、脅しによって「これ以上の負担を求めるな」とは厚かましい言い分です。
企業の言い分を擁護するのではなく、国民の立場できっぱりと「モノをいう」政党が必要です。(清水渡)