2009年8月27日(木)「しんぶん赤旗」
新基地建設
ジュゴンへ影響深刻
審査会 専門家が「準備書」批判
沖縄県名護市辺野古崎への米軍新基地建設に伴う環境影響評価(アセス)準備書を審議している県環境影響評価審査会(津嘉山正光会長)は26日、宜野湾市内で第7回審査会を開き、ジュゴンの専門家から意見聴取しました。
粕谷俊雄元帝京科学大学教授が出席、意見陳述しました。粕谷氏は絶滅危惧(きぐ)種のジュゴン保全の立場から準備書の問題点を指摘しました。
粕谷氏は準備書がジュゴンなどへの影響について「可能な限り被害を低減する」などとしていることについて「影響評価としては無意味である」と指摘。沖縄島に生息するジュゴンの個体群の存続の観点から新基地建設がジュゴンの現在と将来に与える影響を評価すること、そのためのデータを得るにはどのような調査が必要かという立場が欠如していると批判しました。
準備書が調査依頼した科学者を匿名にしたことも「各種調査の信頼性に疑念を残す」としました。
航空機によるジュゴン重点生息調査、水中鳴音、映像録画についても「情報は限定的で沖縄島全域でのジュゴンの分布と比較、その海域での重要性が明らかにならない」と強調しました。
粕谷氏は最後にジュゴンが沖縄島の西海岸、東海岸での移動・交流している実態にふれ、「新基地で藻場の範囲が狭められたら西海岸のジュゴンも生存に影響を及ぼすと見るべきだ」と新基地建設によるジュゴンへの深刻な影響が避けられないとの見解を示しました。