2009年9月3日(木)「しんぶん赤旗」
主張
浜岡原発の耐震性
東海地震起きてからでは遅い
ことしも「防災の日」を迎え、全国各地でさまざまなとりくみが行われました。災害はいつ起こるかわかりません。それだけに被害を防ぐ対策が不可欠です。
8月11日の駿河湾地震で、中部電力の浜岡原発(静岡県御前崎市)5号機では、設計時の想定を上回る揺れを観測しました。浜岡原発は、いつ起きてもおかしくないといわれる東海地震の震源域の真ん中に位置しています。東海地震が起きたらどうなるのかという不安が強まっているのは当然です。
地震の規模は数百倍
駿河湾地震の後、浜岡原発では、50件を超す異常が確認されています。原子炉の制御にかかわる異常のほか、地盤の沈下や隆起、道路の亀裂などが発生しています。排気塔から放射性物質が排出されたことも明らかになっています。エネルギーが数百倍の規模とされる地震が真下で起きたらどうなるのか、まったく予測がつきません。
東海地震の規模はM8級と予測されています。地震のエネルギーは、マグニチュード(M)が1大きくなれば約30倍に、2大きくなれば約1000倍になります。東海地震が起きれば浜岡原発が危険な事態になるのは避けられません。
駿河湾地震の規模はM6・5でした。浜岡原発の耐震設計では、「将来起こりうる最強の地震」(設計用最強地震)として、1854年の安政東海地震が想定されたことになっています。安政東海地震はM8・4でした。
駿河湾地震は、M8・4の地震を想定した揺れを超えてしまったことになります。
原発の耐震設計の際の地震の想定がいかに実際とかけ離れているかは明白です。このことは、新潟県中越沖地震(2007年7月、M6・8)で、設計時の想定を何倍も上回る揺れに襲われた柏崎刈羽原発でも、はっきり示されています。
浜岡原発を大地震が予測されたところに建設したこと自体が無謀でした。地震予知連絡会元会長の茂木清夫さん(東京大学名誉教授)は、「浜岡原発1、2号機は、私が1969年に東海地震発生の可能性を指摘した直後につくられた原発です。中部電力が申請し、国が許可するまで、あっという間で、耐震性について十分検討したとはとても思えません」と、その無謀さを指摘しています。
浜岡原発は、東海地震を想定した「大規模地震対策特別措置法」がつくられた78年に2号機の運転を開始、東海地震の震源域の真ん中に位置することがわかった後の82年には3号機、89年には4号機、99年には5号機と、次々に建設を進めてきました。建設立地そのものに根本的な反省が求められているのは明白です。
運転の永久停止を
中部電力や経済産業省は、駿河湾地震で浜岡原発の安全性は基本的に保たれたと強調しています。しかし、規模がけた違いの東海地震が起きたらどうなるかについては言及していません。しかも、1、2号機の耐震補強には経費がかかりすぎるとして、これらを廃炉にする代わりに、国内最大級の6号機を新設するともしています。
東海地震が起きれば、駿河湾地震や中越沖地震の比ではありません。6号機の新設をやめることはもちろん、浜岡原発はすべて運転を永久停止にすべきです。
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