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2009年9月4日(金)「しんぶん赤旗」

日本の温暖化対策

民主公約に財界が危機感

「交渉に弾み」EUは歓迎


 衆院選で大勝した民主党を中心とする政権が成立することで、日本の温暖化対策に変化が出てくる可能性に対し、欧州連合(EU)などから歓迎の声が上がる一方で、日本の対策の足を引っ張ってきた財界は懸念を深めています。

 年末までの合意を目指している2013年以降の温暖化対策の国際協定づくりで、交渉の焦点となっているのが、20年までの先進国の温室効果ガス排出量削減目標(中期目標)です。国連気候変動枠組み条約事務局の8月の集計によれば、これまでに米国以外の先進諸国が出した目標幅は、1990年比で15〜20%削減。世界の科学者を結集した「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が示す25〜40%削減の幅を下回り、途上国側の不満を募らせています。

 麻生自公政権が発表した目標は90年比約8%減で、先進国全体の削減幅を押し下げる役割を果たしていました。これに対して民主党は25%減の目標を掲げ、連立協議をする社民党は30%減を提示しています。

 EU現議長国スウェーデンのカールグレン環境相は1日、「もし(日本の)新政権が、選挙中に示唆したことを実現できれば、温暖化交渉に弾みを与えることができる。これにオーストラリアを加えれば、ますます多くの先進国が野心的な目標を掲げることになる」と歓迎の意を示しました。

 対照的に懸念を深めているのが日本経団連です。2日には緊急の正副会長会議を開催。民主党の中期目標について、「大きな国民負担になる」などとして“懸念”する声が出席者から相次ぎました。

 日本経団連が特に憂慮しているのが、鳩山由紀夫代表が首相就任直後の22日、ニューヨークで開かれる国連の気候変動ハイレベル会合に出席することです。副会長の一人は正副会長会議後、記者団に対し、「22日に鳩山さんが(25%の中期目標を)国際公約してしまったらおしまいだ」と危機感を強調。「できる人から民主党と対話していく」とし、“説得工作”を強める考えを示しました。

 もし日本の中期目標が自公政権の8%から25%に引き上げられれば、日本はこれまで着せられてきた「交渉の妨害者」の汚名を返上し、推進役に転じることができます。温暖化対策で積極姿勢を打ち出せれば、この問題を重視するオバマ米政権との関係緊密化にも役立つとの指摘も強まっています。新政権の対応が、内外から注目されるゆえんです。(坂口明)



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