2009年9月5日(土)「しんぶん赤旗」
新型インフル
重症化防ぐ備えを 医師らシンポ
新型インフルエンザの重症化をどう防ぐかをテーマにした公開シンポジウム(東京大学医科学研究所主催)が4日、東京大学安田講堂で開かれました。
講演したのはWHO(世界保健機関)ジュネーブ本部専門官の進藤奈邦子さん、東大医科学研究所教授の河岡義裕さん、国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部信彦さん、「けいゆう病院」小児科部長の菅谷憲夫さん。公衆衛生、ウイルス研究、臨床医のそれぞれの立場から、重症患者の治療に欠かせない医療機関のICU(集中治療室)や人工呼吸器など医療・治療体制の整備が最大の課題だとのべました。
進藤専門官は、WHOがつかんだ重症例のうち、「ウイルス性肺炎がもっとも多く、健康小児・成人が重症例の半数近くを占めていることにも注意が必要」だと指摘。河岡教授は「これからできるだけ重症化する人の数を減らすことが課題」だと指摘しました。岡部感染症情報センター長は「ワクチンは、(感染者の拡大防止ではなく)重症化しやすい人たちの重症化を防ぐのが目的だ」と強調しました。
菅谷小児科部長は「重症肺炎にそなえて、入院施設には多数の人工呼吸器の配備が重要」だと指摘。新型インフルエンザが季節性インフルエンザと変わらないというとらえ方は間違っており、新型の流行では短期間にウイルス性肺炎やインフルエンザ脳症などの重症患者が多数発生すると警鐘を鳴らしました。
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