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2009年9月6日(日)「しんぶん赤旗」

自動車排ガス対策が急務

ぜんそく引き起こす微小粒子

都市部 新設の基準を大幅超

東京大気汚染公害裁判弁護団が調査


写真

(写真)大気汚染物質PM2・5の対策が迫られる幹線道路.埼玉県内の東北自動車道

 ディーゼル車などの自動車排ガスが主な排出源の大気汚染物質「微小粒子状物質(PM2・5)」について、環境省は今月9日に初の環境基準を設定します。これまで国などが実施した都市部での測定結果から、新たに設定される環境基準を大幅に上回る深刻なPM2・5による大気汚染が続いていたことが5日までにわかりました。東京大気汚染公害裁判弁護団がまとめたもので、自動車排ガス対策や道路行政の見直しが迫られています。

 政府はこれまで環境基準をつくることを拒否しつづけ、東京大気汚染公害訴訟の原告勝訴判決(東京地裁)を受けた、2007年8月の原告勝利和解(東京高裁)で、ようやく制定を約束しました。

 今月9日に設定される基準は、1立方メートルあたり15マイクログラム(年平均)で、いち早く1997年にPM2・5の環境基準を導入した米国と同じレベル。

 同弁護団副団長の西村隆雄弁護士によると、国が98年度から06年度まで大都市部で測定したPM2・5の大気汚染レベルは、最高が1立方メートルあたり40マイクログラム。多くの地点で同20マイクログラム前後でした。東京、横浜、川崎、大阪、兵庫など幹線道路沿いに設置した自動車排ガス測定局だけでなく、住宅地に設置した一般測定局も新たな基準を上回っていました。(表)

 米国の環境基準はPM2・5の濃度と死亡リスクの増大を明らかにした研究から導かれたもので、死亡の増加を回避するための基準といえます。国内の都市部を中心にぜんそく患者は増加傾向で、国が公害健康被害補償法(公健法)による患者認定を打ち切った88年以降、未認定患者は被害補償を受けられなくなっています。

 首都圏の大気汚染は80年代の後半に悪化。都市部では幹線道路沿道だけでなく住宅地でも、高濃度の汚染が面的に広がっています。新たな地域指定や被害補償制度を復活させることと、発生源対策は待ったなしの課題です。

表


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