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2009年9月8日(火)「しんぶん赤旗」

NHKスペシャル

市田書記局長の発言


 6日放映のNHKスペシャル「“政権交代” 政治はどう変わるか」での、日本共産党の市田忠義書記局長の発言を紹介します。民主党、自民党、公明党、社民党、国民新党、みんなの党の代表が参加、司会は影山日出夫解説委員。


問われるのは「政治主導」の中身

 番組は「国民本位の政治の実現を」(40代男性)「透明性の確保、ムダをなくすことこそ政権交代の意味がある」(50代男性)などの視聴者からの声を紹介。影山氏が「官僚任せではない、国民目線の政治をどう実現するか」と提起しました。民主党の岡田克也幹事長は「族議員が官僚と組みながら、ものごとを決める。大臣や総理大臣よりも族議員が発言力をもつ構造を断ち切る」と述べ、自民党の長期政権の弊害を強調。自民党の細田博之幹事長は「官僚主導でいいなりということはない。官僚、旧与党をあしざまにいえばすむという風潮がある」などと述べました。これに対し、市田氏は次のように述べました。

 市田 あしき官僚主導はなくすべきです。ただ、この間ずっと続いてきた自民党政治を“官僚主導”ということだけでひとくくりにしてしまっていいのか。それは逆に自民党政治を免罪することになる。

 この間、国民のくらしや平和を脅かしてきた根本には、自民党政治の財界・大企業中心、軍事同盟中心という政治があったと思います。それを忠実に支えてきたのは官僚機構であって、官僚機構が自民党政治を動かしてきたのではないと思います。そこをしっかりとらえる必要がある。

 それから、政・官の癒着はよく言われますが、われわれは政・官・財の癒着(が問題)だと思います。この癒着を断ち切る、このトライアングルの接着剤になっているのは「(高級官僚の)天下り」と、「企業・団体献金」だと思います。この両方をきちんと断ち切っていく。(要するに)政治主導の中身が問われていると思います。

財界・米国に堂々とモノ言う

 さらに、民主党が掲げる国家戦略局について議論になり、岡田氏は「民間から集めた人、党の職員とかで戦略局の中身をつくる」と表明。公明党の高木陽介幹事長代理は「経済財政諮問会議には経団連の代表や学者も入ったが、最終的には総理と担当の閣僚など政治家が決めてきた。そことどう違うのか」と疑問を呈しました。国民新党の亀井静香代表、社民党の福島瑞穂党首は「連立しようとするなら、われわれの考えをどう(政権の政策に)組み込んでいくのか」などと注文をつけました。影山氏が「(共産党は)どうか」と質問したのに対し、市田氏は次のように答えました。

 市田 国家戦略局は、まだこれからスタートですから、始まる前からあれこれいうのはどうかと思うんですが、一般論として枠組みとか仕組みももちろん大事だけれども、中身がやっぱり国民の要求や立場にそったものになるかどうかということが一番問われてくる。

 今でも自公政権は70人くらいの政治家が行政の側に出ているわけで、それが(国家戦略局では)100人になる。人数が100人になったらうまくいくかと。それから(公明党の)高木さんが経済財政諮問会議も、もちろん財界の代表もいたけれども実際は政治主導で決めていたというふうにおっしゃっていたけれども、実態は、経済財政諮問会議もそれから規制改革会議も、経団連の代表や、政府よりの学者だとか、そういう人を中心に動かされていたのは事実です。

 もう一つ、「年次改革要望書」。アメリカから毎年きますよね。「郵政民営化」もブッシュ・小泉会談でも話になって、アメリカ側がまるで日本を「属国」扱いする「年次改革要望書」については、そういうやり方をやめて日本独自で自主的に考えていく。言いなりにならないという立場が必要だと思います。

 財界にも堂々とものを言う。アメリカにも堂々と自主的な立場でものを言う。この問題でもそういう中身が問われていると思います。

天下り禁止法案成立を

 「官僚政治の打破」と関連して天下りが議論となり、市田氏は次のように述べました。

 市田 (天下りは)根絶すべきですね。今は、いわゆる「官民人材交流センター」が、これまで省庁別にやっていたのをまとめて、天下りと天上がりをあっせんしている。財界・業界が一部特権官僚の指定席・特別席を用意している。その見返りに官僚が財界・大企業に役に立つような政策を立案して、自民党政治がそれを法律として成立させる。その見返りに企業献金を(もらう)という、このシステムを断ち切ることが一番大事じゃないか。

 新政権にはぜひ明確に天下りを禁止することを(求めたい)。完全に禁止するという法案をぜひ成立させる必要があると思います。

生活密着型の公共事業へ

 予算の使い道の問題で公共事業について議論になりました。高木氏は、民主党が八ツ場(やんば)ダム(群馬県)中止を「一方的に決めた」と非難し、細田氏は「地方は公共事業で飯を食っている」と発言。市田氏は次のように述べました。

 市田 地方が疲弊しているのは、公共事業の問題だけではなくて、地方交付税が大幅に削減されたり、農業や中小企業がだめになったり、あるいは病院つぶしなどで公立病院がどんどんなくなる。郵政民営化で郵便局もなくなっていく―そういう総体的なものだと思うんですね。

 公共事業について言いますと、減らしたというが大型公共事業は結構残っているんですよ。高速道路だとかスーパー中枢港湾だとか。大型公共事業は雇用という面で見るとあまり役立たないんですよね。むしろ生活密着型の公共事業の方は雇用を促進させるわけで、たとえば特別養護老人ホームをつくるだとか、あるいは耐震工事をやるだとか。調べて驚いたんですけど、老朽化のために通行止め、通行禁止になっているそういう橋が977あるというんですね。そういうところにもっとお金を使うようにして、生活密着型の公共事業は大いにやればいい。それは雇用も地域経済の活性化にも役立つ。

 先ほど八ツ場ダムの話があったけれども、あれは利水という点でも、(1都6県で)600万人分も水が余っているわけですよ。もう造りかけたらとことん行くんだというので結局、無駄な公共事業が際限なく続いてきたわけだから、決断してやめるべきだ。もちろん移住したり、大変な被害をこうむっている人もいるわけで、地元住民の生活再建とセットでやる、そう思います。

多様な意見反映する選挙制度に―比例削減に反対

 これからの政治の姿が議論となり、「二大政党制」について、高木氏は「多党制がのぞましい」、福島氏は「比例区の削減は反対だ。選挙制度のあり方を考えたい」と発言。市田氏は次のように述べました。

 市田 小選挙区制という選挙制度で人為的につくられる「二大政党制」というのは、国民の民意を反映しないという点で重大な問題を含んでいる。今度の小選挙区の(選挙)結果を見ますと、民主党は47%の得票率で74%の議席なんです。得票率と議席数が(あまりにも)乖離(かいり)している。(前回の)郵政選挙のときも同じことが自民党さんにも言えたわけです。ですから国民の多様な意見が反映されるような制度にしていくべきだ。そういう点で比例定数の80削減なんていうのは今度の(選挙)結果から見てもよくない。民主党はマニフェストに書いておられるけど、あれは絶対やめてほしいということをここで強く要望しておきたい。

 細田氏は「小選挙区制は問題点をはらんでいる。検討する必要がある」、岡田氏は「小選挙区制を中心にした制度がいい。若干の比例を残して。マニフェストで書いている比例定数削減は簡単に変えられない」と述べました。



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