2009年9月8日(火)「しんぶん赤旗」
辺野古米軍新基地・アセス審査会
方法書から手続きやり直せ
アセス専門家が意見陳述
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に関する環境影響評価(アセスメント)準備書を審議する県環境影響評価審査会(津嘉山正光会長)は7日、第8回審議会を宜野湾市で開きました。前審査会のジュゴン専門家の意見聴取に続き、アセス専門家の三宅俊司弁護士(沖縄弁護士会会員)、倉阪秀史千葉大学法経学部教授が意見陳述しました。
三宅弁護士は新基地アセスの問題点として(1)アセス手続きを踏まない陸上部における隊舎等の建設工事の着手(2)方法書作成前の違法な事前調査(環境現況調査)の強行(3)方法書の追加・修正資料の提出に関し、住民の意見陳述の機会が与えられなかった(4)準備書提出の間に事業内容の追加がなされた―ことなどを列挙。とりわけ違法な事前調査により環境を著しく破壊した上での環境影響評価は、「到底有意性を持たない」と厳しく指摘しました。
さらに方法書に記載すべき事項を知事意見後に追加・修正資料で提出した沖縄防衛局の手法について、「住民の意見陳述権を侵害するにとどまらず、審査会の権限すら否定する極めて不当な手続きであり、アセス法第5条が求める方法書作成義務に違反する脱法行為だ。批判を回避するための意図的な必要記載要件の逸脱と言わざるを得ない」と断定しました。
その上で三宅弁護士は、「アセスの設計図である方法書が違法であるから、その後の環境影響調査も、その成果としての準備書も極めて違法性が高い」とし、「すでに破壊された環境への回復を要する相当期間を経過した後に、(建設しないという)ゼロオプションを選択肢とした上で、方法書から手続きをやり直すべきだ」と結びました。
傍聴席に詰めかけた約100人の市民は、同氏の陳述に賛同する拍手を盛んに送っていました。