2009年9月10日(木)「しんぶん赤旗」
歴史の大局で到達点をとらえ未来を展望する
総選挙の結果と「建設的野党」の役割
日本共産党創立87周年記念講演会
志位委員長が講演
日本共産党は9日、東京・日比谷公会堂で党創立87周年記念講演会を開き、志位和夫委員長が「歴史の大局で到達点をとらえ、未来を展望する――総選挙の結果と『建設的野党』の役割」と題して講演しました。新衆院議員9人が勢ぞろいし、意気高くあいさつ。会場いっぱいの参加者が熱い拍手を送りました。小池晃政策委員長が司会をしました。CS通信、インターネットで全国に中継されました。
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志位氏はまず、総選挙の結果について、自公政権の退場は、日本の政治にとって前向きの大きな一歩であり、「心から歓迎する」と表明。「『財界中心』『日米軍事同盟中心』という『二つの政治悪』を特徴とする自民党政治そのものが、もはや通用しなくなり、崩壊過程が始まった――ここに今回の総選挙の歴史的意義がある」と強調しました。
また、国民が下したのは「自公政権ノー」であり、「民主党イエス」の審判ではないと指摘。民主党の鳩山由紀夫代表自身の言葉もあげ、「政権を担うことになる民主党が、数の力におごることなく、国民の声に謙虚に耳を傾けた政権運営をおこなうことを求める」と表明しました。
総選挙の結果は、「国民が新しい政治を探求する時代の本格的到来をつげたもの」とのべた志位氏は、日本共産党が善戦・健闘した意義を語るとともに、「もっと伸ばしたかった」との思いも共有しながら、「私たちはこの結果に安住するものではない」と強調。どんな情勢のもとでも前進する自力をつけるうえでは、「私たちの努力は、発展途上にある」と強く大きな党づくりへの新たな決意を表明しました。
日本政治史の三つの時期
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そのうえで志位氏は、「いま私たちが立っている地点を、日本の戦後政治史の大局でとらえ、未来を展望してみたい」とのべ、1955年の自民党結党以後の日本の政治史を(1)55年からの「保守対革新の対立の時代」(2)70年代中ごろからの「反動攻勢と日本共産党をのぞく『オール与党』政治への転換の時代」(3)93年から今日に続く「『二大政党』づくりとのたたかいの時期」―の三つに分けて、政治史の流れを語りました。このそれぞれで、日本共産党が、たたかいによって情勢を切り開いてきたことを力説しました。
志位氏は、とりわけ、今日に続く第三の時期の「二大政党づくり」の企てが、財界主導で、小選挙区制の導入と一体で進められてきたことを指摘。その狙いは▽「二大政党」による政権交代をおこなう体制をつくり、悪政を競い合わせる中で、危機に陥った自民党政治の延命をはかること▽日本共産党の活動と存在を日本の政界から締め出すこと―の二つだったとのべました。
では「支配勢力のこの狙いは果たされたか」―志位氏は「二大政党」づくりの動きを3段階に分け、歴史の到達点を次のように解明しました。
93年の最初の段階では、「非自民」連立政権が「自民党政治の継承」を公然と押し出したが、2003年という次の段階では、日本共産党の躍進に危機感を燃やした財界がシナリオを書き、自民、民主の双方が消費税増税や憲法改定など「悪政の競い合い」を、財界の手のひらの上でおこなったと指摘しました。
しかし、その次の段階となる09年総選挙では、民主党もいわゆる「対決型」選挙へ転換。同党が「自公政権を終わらせよう」と訴えるなかで、従来の「悪政の競い合い」の側面とともに、国民要求を部分的に反映した側面も生まれ、財界の意思とは矛盾する政策も打ち出されるようになりました。
日本共産党が善戦した意義
志位氏は第三の時期をこうスケッチしたうえで、「支配勢力が、つぶすつもりだった日本共産党は元気いっぱいで、延命させるつもりだった自民党政治そのものの崩壊が始まった。さらに国民の批判の矛先は、横暴勝手をつくした財界そのものに向けられている」と指摘。国民とともに、こうした状況をつくり出してきたのが、日本共産党の不屈のたたかいだとのべ、今回の選挙で日本共産党が善戦・健闘したことの歴史的意義を強調しました。
政治をどう前にすすめるか
では、未来を展望して、日本の政治をどうやってさらに前にすすめるか―。志位氏は、民主党の政策・路線には、「財界中心」「軍事同盟中心」という自民党政治の「二つの政治悪」から抜け出す立場はいまのところ見られないし、国民の利益に反する問題点も少なくないが、部分的には国民要求を反映した政策も打ち出されていると指摘。こうした「過渡的な性格」をもった新政権のもとで新しい局面をさらに前にすすめる最大のカギは国民の世論と運動、日本共産党のたたかいであると力説、歴史を促進する「建設的野党」の役割をのべました。
その仕事の第一として、現実政治を前に動かし、国民要求を実現する仕事(「良いことには協力」「悪いことにはきっぱり反対」「問題点をただす」)を提起。医療費の窓口負担の軽減・無料化など民主党の政策に含まれていない国民の要求も、国民の連帯した力でその実現を強く迫っていこうと呼びかけました。
第二に、政治のゆがみを大本からただし、「国民が主人公」の日本をめざす仕事をあげた志位氏は、労働者派遣法の改正や温室効果ガスの中期削減目標の引き上げには、すでに財界から強い抵抗が起きていると指摘。新政権には一つひとつの問題で財界主導から抜け出せるのかが試されることになるとのべました。
アメリカとどう向き合うかも、民主党中心の政権に問われる大きな問題だと指摘。「日米核密約」と「核の傘」、米軍基地問題、自衛隊の海外派兵など、いくつかの具体的問題で矛盾と問題点を示しました。そして、「民主党の『日米(軍事)同盟基軸』という立場と『対等な日米関係』という言明の間には、根本的な矛盾がある」と指摘しました。
日本共産党が出番の時代
志位氏は、綱領に明記された展望をもって「建設的野党」の二つの仕事に取り組めるのは、日本共産党をおいてほかにないと指摘。「日本の未来は、私たちの奮闘にかかっている」「歴史の開拓者の党、日本共産党の出番の時代がやってきた」と新たな奮闘を呼びかけ、大きな拍手を受けました。
最後に志位氏は、「人々の『SOS』を受け止め、ともに苦難軽減のために力をつくす。そうした草の根でがんばる同志たちを全国津々浦々にもっていることこそ私たちの最大の誇りだ」とのべ、心から入党を呼びかけました。そして、強大な党の建設を訴えると、聴衆は大きな拍手でこたえました。