2009年9月12日(土)「しんぶん赤旗」
温暖化対策
途上国支援に2兆円
EUが提案を発表
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は10日、地球温暖化問題で、2020年時点で発展途上国に対し年間最大150億ユーロ(約2兆100億円)の対策費用を援助する提案を発表しました。
京都議定書に代わる温暖化対策の次期枠組みの締結を目指す国際交渉のなかで、途上国は、温暖化問題は先進国のこれまでの活動が引き起こしたもので、対策費用は先進国が担うべきだと主張しています。
今回の提案は、こうした途上国の要求に応えたものです。
欧州委は、2020年までに途上国が必要とする温暖化対策経費が年間で約1000億ユーロに達すると試算。その資金の多くは、途上国が国内で調達するか、国際的な排出権取引で賄わなければならないとしつつ、国際的支援として年間約220億〜500億ユーロが必要となると見積もっています。
今回の欧州委の提案は、このうち年間20億〜150億ユーロを20年までEUが支援するというものです。
バローゾ欧州委員長は発表文のなかで、コペンハーゲンでの国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)まで90日を切ったことを指摘し、「交渉を本気で前進させる必要がある」と強調。
欧州委のディマス委員(環境担当)は、途上国の対策費負担の問題で先進国との間で意見の対立があることを念頭に「コペンハーゲンに向けた交渉の行き詰まりを今、打開しなければならない。これが欧州委が提案した理由だ」と述べました。(田中一郎)
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