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2009年9月12日(土)「しんぶん赤旗」

命・健康 守って10年

過労死・じん肺被害を救済

全国センターがシンポ


 全労連や全日本民医連などでつくる「働くもののいのちと健康を守る全国センター」の結成10周年を記念したシンポジウムが11日、東京都内で開かれました。労働組合をはじめ、医者、研究者、過労死遺族ら100人が参加。センターが被害者救済をはじめかけがえのない役割を果たし、全国に運動を広げていることが交流されました。


 福地保馬理事長が基調報告し、労働分野の規制緩和に抗し、国に責任を認めさせたじん肺闘争や過労死・自死の労災認定など運動を大きく前進させてきたと強調しました。

 被害者・遺族の救済と予防、制度改善は共同の力で実現したものだと指摘。国民が社会や職場の矛盾を実感し、たたかいが広がっているとのべ、「すべての働く人々の健康問題を視野にした活動を展開していくチャンス。ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を実現する社会をつくっていこう」と呼びかけました。

 全労連の小田川義和事務局長が「働くものに憲法を 日本での『ディーセントワーク』実現をめざす全労連のとりくみ」と題して講演。総選挙で切り開かれた情勢を生かして、安定した良質な雇用をつくるたたかいを広げていきたいとのべました。

4人が報告

 シンポジウムでは、「被害者救済から予防へ」をテーマにして4人が報告。過労死やじん肺などの被害者救済の運動から、労働災害・職業病をださない予防のとりくみへと発展させていることがだされました。

 大阪の国立循環器病センターの看護師で、25歳で過労死した村上優子さんの裁判を支援してきた日本医労連。山田真巳子さんは、過労死を裁判で認めさせたのを受けて、看護協会が実態調査を行い、「23人に1人が過労死危険レベル」との結果から「ナースのかえるプロジェクト」を始めたことを紹介し、「運動の広がりと裁判勝利が協会も動かした。職場から夜勤点検活動などをすすめていく」と語りました。

 全国じん肺弁護団連絡会議の井上聡弁護士は、「なくせじん肺全国キャラバン」にとりくむなど、じん肺被害者救済と根絶のたたかいを報告。被害者は「二度と自分たちの苦しみを味わわせない」と制度改革にもとりくみ、全国トンネルじん肺根絶訴訟では、原告団が厚労相や国交相らと防止対策の合意書を結んだことをのべました。

 化学一般労連の堀谷昌彦委員長は、労働災害企業内補償やじん肺などの問題で統一要求をかかげ、職場から協約闘争をすすめてきたと紹介。「労働安全衛生活動を中心にすえることで、賃金・労働条件の改善もすすむ」と語りました。

 トヨタで夫が過労死した内野博子さんは、「自主活動」とされてきたQC(品質管理)サークル活動なども業務であるとする判決を確定させ、労災年金の算定では会社にも協力させてそれ以外の活動も残業時間に認めさせたと報告。トヨタがQCサークル活動も業務とみなす社内ルールに変更したことをのべ、「自分だけのことでなく、全国でQCサークル活動をしているすべての人のためになってうれしい」と語りました。長時間労働の根絶などを訴えました。



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