2009年9月12日(土)「しんぶん赤旗」
高い供託金制度は見直すべきでは?
〈問い〉 総選挙がおこなわれましたが、供託金があまりにも高く驚かされました。日本共産党はこの制度をどう考えますか。欧米の実態も合わせて教えてください。(東京・一読者)
〈答え〉 日本では選挙に立候補する際、供託金を法務局に提出(町村議選を除く)しなければなりませんが、その額は諸外国と比べても突出しており、異常です。
国政選挙の場合、衆院・参院の比例代表で600万円、衆院小選挙区・参院選挙区で300万円が必要です。供託金は、衆院小選挙区は有効投票総数の10分の1未満の得票で、参院選挙区は有効投票総数を議員定数で割った数の8分の1未満で、衆院・参院の比例代表は当選者の2倍を超える立候補人数分が返却されず国に没収されます。
アメリカ、ドイツ、イタリアをはじめ大多数の国では供託金の制度自体がありません。フランスも1995年に廃止しています。供託金制度がある国でも、その額は国政選挙でイギリス500ポンド(約8万円)、カナダ1000ドル(約9万円)、オーストラリア(下院)500ドル(約4万円)と低額のうえ、没収点も日本より低く抑えられています(国立国会図書館調査・立法考査局07年11月調べ、為替レートは先月末)。
日本では25年に普通選挙法が制定された際、衆院議員立候補を25歳以上の男子に広げるかわりに、保証金を供託する制度が導入されました。「候補者の濫立(らんりつ)防止」がその理由で、貧困な労農無産政党系の人々などが立候補の制約をうけました。政府与党は戦後、供託金の引き上げを繰り返し、93年の法改正で現在の金額になりました。
このことは、政府が文書配布の制限や戸別訪問禁止などとともに、国民が選挙に参加することをできるだけ阻もうとしてきたことを示しています。高額な供託金のために国民の立候補を事実上制限しているのは、法の下の平等を定めた憲法14条や議員と選挙人の資格を「財産や収入で差別してはならない」と定めた憲法44条に反します。日本共産党は供託金の大幅な引き下げを求めています。(光)
〔2009・9・12(土)〕