2009年9月16日(水)「しんぶん赤旗」
医療費は窓口負担ゼロが当たり前とは?
〈問い〉日本共産党は“医療費は世界では病院窓口負担ゼロが当たり前”と主張していました。高齢者はゼロだったときがありましたが、ゼロに戻せると考えますか。(東京・一読者)
〈答え〉日本の医療制度では、治療費の何割かを患者本人が負担しないと医療が受けられなくなっています。負担割合は、現役世代(小学生〜69歳)が3割、高齢者(70歳以上)が1〜3割などです。
公的医療制度がありながら通院でも入院でも、3割もの窓口負担をとられる国は、先進国では日本だけです。OECD(経済協力開発機構)に加入する30カ国のうちイギリス、イタリア、カナダ、デンマークなど15カ国は、窓口負担が原則無料です。有料という国もドイツが3カ月=10ユーロ(約1300円)、ポルトガルが受診1回=2・2ユーロ(約300円)など少額の定額制です(OECD編著『世界の医療制度改革』ほか)。
公的医療制度は、お金のある・なしにかかわりなく、全国民に必要な医療を保障するためにつくられたものです。窓口負担は無料・低額が当たり前で、“お金がないと治療が受けられない”“重い病気になると治療費が払えなくなる”というのでは制度の意味がありません。日本も1980年代前半までは、健保に加入する労働者本人や70歳以上の高齢者は窓口負担が無料でした。その原則を突き崩し、「1割→2割→3割」と改悪を繰り返して、医療制度を“国際標準”から大きく後退させてしまったのが自民党政治です。
いま、年収300万円未満の世帯では4割の人が「具合が悪くても医者にかかれない」など、負担を苦にした受診抑制が深刻化しています(日本医療政策機構アンケート調査、07年)。窓口負担を軽減し、貧困のために医療を受けられない人をなくすことは、日本医師会をはじめ医療関係団体がそろって要求する国民的課題です。
日本共産党は、先進国では当たり前の窓口負担ゼロの医療制度をめざし、その第一歩として、子どもと高齢者の医療費を国の制度として無料化することを提案しています。 (谷)
〔2009・9・16(水)〕