2009年9月18日(金)「しんぶん赤旗」
八ツ場・川辺川ダム中止
首相・国交相が明言
鳩山由紀夫首相は17日夜、首相官邸で記者団に対し、八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)と川辺川ダム(熊本県相良村)の建設を中止する考えを表明しました。民主党は衆院選マニフェスト(政権公約)で両ダムの建設中止を掲げています。首相は「決めたことはきちっとやり抜くという姿勢を貫くことは非常に大事だ」と強調しました。
これに先だって、前原誠司国土交通相は同日未明、国交省内で記者団に対し、八ツ場ダムについて、「われわれのマニフェストを実行する」と述べ、中止の方針に変わりはない考えを表明。「やみくもに中止すると混乱が起きる。(中止の)前提として、どういう補償措置を取るのかは必須の条件になる。地元の方々や関係自治体との話し合いの中でまとめる」と述べ、できるだけ早期に現地を訪問する意向を示しました。
また、同相は同日の会見で、川辺川ダムについても、「(利水、発電、治水という)当初の三つの大きな目的のうち(利水、発電の)二つがなくなった。事業を見直すのが当たり前」と述べ、建設中止を明言しました。
八ツ場ダム事業は、利根川水系の治水対策と首都圏の都市用水確保を目的に、1952年に計画が発表された直轄ダムで総事業費は4600億円。国および関係6都県の起債利息をあわせると9000億円規模にものぼります。道路や鉄道の付け替えなど関連工事に対して昨年度末までに3210億円分を既に執行。2015年度の完成を予定しています。
同ダムは「治水」「水源開発」が目的とされましたが、その効果には疑問の声が根強く、6都県で建設差し止めを求める住民訴訟が起こされています。
日本共産党はムダな大型公共事業の典型として、国政でも地方議会でも一貫して建設反対を掲げています。
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