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2009年9月19日(土)「しんぶん赤旗」

黒字でも工場閉鎖・退職に追いこむ

身勝手な大企業リストラ

反撃 地域ぐるみ


 史上最悪の失業率になっているのに、大企業の身勝手なリストラが続いています。一方的な工場閉鎖で退職に追い込むやり方に対し、雇用と地域経済を守れとたたかいが広がっています。


選別リスト

 昨年度、国内外で1万4000人を減らしたパナソニックは、2月にさらに1万5000人の削減計画を追加しました。

 電子回路製造の佐賀県鳥栖市の工場では、非正規労働者を雇い止めし、9月末閉鎖で正社員約900人を山梨県などに配転。半導体部品製造の熊本工場(熊本県八代市)も9月末閉鎖で正社員250人を新潟、富山へ配転します。「事業の選択と集中をすすめる」というのが理由です。

 家族がいるなど配転に応じられない人は退職するしかありません。熊本県労連が開いたシンポジウムでは家族が、「家のローンや子育て、介護などで転勤は無理」「閉鎖理由が納得できない」と訴えました。

 配転できない場合は再就職あっせんするとしていますが、「最後の一人まであっせんする状況になく、話が違う」(鳥栖工場、50代社員)と批判の声が出ています。

 同社は、内部留保の一部である剰余金だけでも3兆7900億円にのぼっており、そのごく一部を活用するだけで雇用は十分守れます。社会的責任が問われます。

 日本共産党の仁比聡平参院議員は、5月の参院予算委員会で、「必要人員」と「余力人員」に選別したリストをつくって、違法な退職強要が行われていると追及しました。

 舛添要一厚労相は、「国権の最高機関の国会で決めた法律であり、守ってもらわないと企業としての資格がない」と答弁しました。

市長も訴え

 ソニーも国内外で2万人のリストラを実施中です。ソニーも剰余金だけで3兆720億円にのぼっており、雇用を守る体力は十分すぎるほどあります。

 年内閉鎖が5月末に発表されたソニーの浜松テック(浜松市、680人)では、「黒字であり身勝手な閉鎖には道理がない」と指摘したビラとアンケートを配布した日本共産党西部地区委員会に、「黒字の浜松閉鎖は納得できない」との声が寄せられています。

 地域経済を破壊する大企業の身勝手な工場閉鎖には、地元首長らからも批判の声があがっています。

 年内に閉鎖される愛媛県大洲市では、市長と議長が、正社員だけで約500人が働くパナソニック工場の存続を要望。岩手県一関市でも、ソニーの工場(870人)の年内閉鎖に対して市長らが存続を求めています。

 いずれも雇用の大きな受け皿もなく、遠隔地への配転には応じられないのが実態です。一関市ではNECの子会社(180人)が5月に閉鎖。岐阜や千葉への配転には応じられない状況です。

労組を結成

 東証・大証1部上場のバンドー化学神戸工場(神戸市)では、派遣など非正規労働者14人が近隣の加古川工場に雇用を確保するよう求めて、「無期限ストライキ」でたたかっています。

 同社は年末にも神戸工場を閉鎖し、非正規を含む約80人を栃木県足利工場に配転させると発表。応じなければ10月末で、雇い止めを通告してきました。

 派遣労働者は、偽装請負を告発し、正社員化を求めて5月に兵庫労連・バンドー化学一般労組を結成。労働局にも申告して正社員化を求めてきました。

 山下浪一郎委員長(45)は、「十数年も働いてきた人もいるのに会社は人を道具としか見ていない。雇用を守るため徹底的にたたかう」と話します。

 前出の一関市では、いわて労連・両磐労連が、宣伝や労働相談を行い、地域経済を守らせようと訴えています。両磐労連の小野寺栄悦副議長・一関市職労委員長は話します。

 「大企業の身勝手な論理で地域住民に支えられてきた工場と労働者を切り捨てることは許されません。雇用と地域経済を守る社会的責任を果たせと、地域ぐるみの世論と運動を広げていきたい」



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