2009年9月20日(日)「しんぶん赤旗」
「慰安婦」問題 知る機会 若者に
教科書への記述復活求め集会
東京
中学校の歴史教科書に、旧日本軍によって性的隷属を強いられた「慰安婦」の記述復活を求める集会が19日、東京都千代田区の明治大学内で開かれ、約70人が参加しました。主催は中学歴史教科書に「慰安婦」記述の復活を求める市民連絡会(7月31日発足)。
集会では、「慰安婦」記述のある教科書を使って9年間授業をした埼玉県の元公立中学校教員(64)が報告。「教科書に一言でも記述されていれば、生徒の心に届くよう工夫して教えることができる。他の先生にも『こうやって教えましょう』といいやすい」と話しました。
別の教員が「慰安婦」問題を授業で取り上げたとき、右翼が電話で抗議してきたときの対応を紹介。この教員は、「検定教科書に書いてあることを教えたのだ。文句があるなら文部省に言ってくれ」と抗議をはね返しました。
その一方、京都のある学校では、教員が「慰安婦」問題を授業で扱うと、校長から「苦情がきた。教科書に書いてないことを教えるな」と言われた事例も生まれています。
「教科書に記述があるのとないのとでは、教師にとっては大違いです」と訴えました。
集会には、中学生時代に「慰安婦」記述のある教科書で授業を受けた19〜20歳の大学生4人も発言しました。
「すごい内容の授業だった、と級友と語り合ったことを覚えています」「若者にとって知る機会が与えられることは重要、何かの機会に思い出すことができます」「高校になると日本史は選択、全員が学べる義務教育の中学校で教えられることには大きな意味があります」
中学の歴史教科書を振り返ると、1997年度はすべての教科書会社が「慰安婦」について記述していました。いまでは本文から「慰安婦」の言葉は消え、2社が関連記述を残しているだけです。
2012年度の教科書は執筆が年内、来年4月に検定が始まる予定です。このため、市民連絡会は、すでに3千を超える署名を集め、教科書会社に要請。「引き続き署名を集め、記述復活への世論を高めていきたい」と話しています。