2009年9月21日(月)「しんぶん赤旗」
水俣病大検診始まる
住民1500人規模 苦しみ今も
不知火海沿岸8市町11カ所
熊本・鹿児島両県にまたがる不知火(しらぬい)海(八代海)沿岸地域で水俣病への健康不安を抱える住民の大検診が20日、両県の8市町11カ所で始まりました。手足のしびれや、感覚障害、視野狭窄(きょうさく)などで苦しみながらこれまで隠してきた住民が次々に受診しました。21日午前までに1500人の健康を調査する予定です。
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同検診は水俣病の被害者団体や医師らでつくる「不知火海沿岸住民健康調査実行委員会」(原田正純実行委員長・熊本学園大学教授)が実施。公式認定から53年が経過しているにもかかわらず国はこの間、水俣病の全ぼうを調査しておらず、民間の調査でも1000人を超えるものは22年ぶり。全国から集まった医師、看護師、医療スタッフなど計640人が問診、診察を行い、住民の健康状態など聞き取りました。
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最大の検診数になる水俣協立病院では、開始1時間前から予約した住民らが列をつくりました。これまで声を上げられなかった住民らが、居住歴や汚染された魚介類の摂取状況、56項目にわたる自覚症状の設問などに回答し、医師による診察ではふらつきや手足の感覚障害、視野狭窄の有無などのチェックを受けました。
自身も診察に加わった原田実行委員長は「(水俣病は)3年で解決できるものではなく、まだ終わってないということが分かってもらえればいい」と語りました。
水俣病をめぐっては、加害企業のチッソの分社化を認め、3年以内をめどに救済対象を確定させ「最終解決」する特別措置法が、水俣病関係団体の反対もあるなか成立しています。
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