2009年9月23日(水)「しんぶん赤旗」
日米FTAでコメが大打撃を受けるとは?
〈問い〉日米FTAについて、日本共産党は「米は壊滅的な打撃を受ける」と告発しています。もう少し詳しく教えてください。
(宮城・一読者)
〈答え〉FTAとは貿易自由化の協定のことです。国際的な貿易交渉は、WTO(世界貿易機関)の多国間交渉(現在はドーハラウンド)があります。FTAは、WTO協定の例外として2国間または複数国間の貿易交渉で、「実質的に全(すべ)ての貿易について、原則10年以内に関税撤廃」(ガット24条)することを基本としています。
民主党が総選挙で掲げた日米FTAの「交渉促進」は、農業の輸出大国アメリカとの間で、関税撤廃など全面自由化を進めることです。農業条件は規模も生産コストも、アメリカが圧倒的に優位で、焦点の米は経営規模で100〜150倍の差があります。アメリカの生産は多くが輸出向けで国が助成しています。そのため、日米FTAで関税が撤廃された場合、日本の米生産は82%、穀類生産は48%減少するとの試算(日米財界団体の委託研究リポート)があるように、日本農業は壊滅します。
民主党は、FTAの推進に際して「食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない」(マニフェスト)といいます。しかし、アメリカの対日輸出の28%が農産物で、日本の対米輸出は工業製品が圧倒的です。関税は、工業品目はトラックなど一部に低率が課せられていますが、農産物は米、小麦など高率なものが残っています。アメリカの政府関係者も「米を含めて、農業はアメリカと日本のFTAの中心」(2007年2月)と述べています。
日本の農産物関税は、米など一部に高い品目もありますが、平均関税率が11・7%で世界でも最低です。これ以上の輸入自由化は、食料の確保を危うくし、農業・農村を崩壊させずにおきません。完全自由化は農業再生の大きな障害にならざるをえません。日本共産党は、食料自給率向上、農業再生のため、日米FTA推進の動きが具体化された場合には断固阻止する立場を明確にしています。(坂)
〔2009・9・23(水)〕