文字の大きさ : [] [] []

2009年9月24日(木)「しんぶん赤旗」

主張

気候変動サミット

政治意思を具体化する努力を


 国連総会と並んで一連の首脳会議がアメリカで始まり、まず地球温暖化対策を話し合う気候変動サミットが開かれました。国連安保理事会の核兵器についての首脳会合、金融危機にかんする20カ国・地域(G20)サミットが続きます。

 温暖化、核兵器、経済・金融―いずれも世界の今後のあり方を左右する重要な問題です。アメリカによる一国覇権主義が破たんして国際協調を掲げるオバマ米政権が登場し、真摯(しんし)な国際交渉が可能になったことで、これらの課題を前進的に解決する条件が生まれています。

国際交渉に弾み

 日本でも、独自の外交政策をもてず国際交渉に後ろ向きだった自公政権が崩壊し、民主党中心の鳩山由紀夫内閣が発足したことが、一連の国際交渉に弾みをつけています。

 気候変動サミットで鳩山首相は、日本の温室効果ガスの排出を2020年までに1990年比で25%削減する方針を国際公約として誓約しました。途上国の対策への資金・技術援助も表明しました。

 京都議定書第1約束期間に続く13年以降の新たな温暖化対策を決める国際交渉は困難に直面しており、合意の枠組みはなお見いだせていません。交渉期限である国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)まで2カ月半を残すだけです。

 今回のサミットで各国は積極的な対策をとる決意を示しました。議長を務めた国連の潘基文(パンギムン)事務総長は、議長総括で各国が交渉促進の意思を明確にしたと特徴づけました。

 交渉打開の突破口を開くには、先進国が野心的な目標を掲げることが第一です。鳩山首相の表明は交渉に障害をもたらした自公政権とは様変わりで、各国首脳や環境団体から積極的だと評価されています。ただ、鳩山首相は主要排出国が応分の削減義務を負うことが前提だと述べました。

 世界の二酸化炭素(CO2)排出量のそれぞれ20%を占め最大の排出国であるアメリカと中国の動向が注目されています。環境重視の経済政策を打ち出しているオバマ米大統領は、サミットでも温暖化対策への決意を表明しました。しかし、排出削減の具体目標では、条約批准の権限をもつ米議会上院の動向も反映して、積極姿勢を打ち出せていません。

 温暖化を阻止するには、先進国と途上国がともに「共通するが差異ある責任」の原則にたって、共同する必要があります。中国の胡錦濤主席は「大幅削減」の意思を示しました。しかし、途上国が枠組みに参加するには、先進国からの資金・技術援助がカギになるとみられ、G20サミットでも議論が続けられます。

首脳の決断こそ

 地球温暖化の破滅的な危機を回避するため、残された短期間に各国がどこまで歩み寄るのか。交渉期間を1年延期すべきだとの声も一部に出るなかで、サルコジ仏大統領は地球規模の決定の重要性を強調し、主要排出国による首脳会議を呼びかけました。ブラウン英首相も各国首脳に年末のCOP15への出席を求めています。

 COP15で合意にこぎつけるには、世界各国が責任を果たす立場にたって努力を一段と強める必要があります。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp