2009年9月26日(土)「しんぶん赤旗」
最低賃金の「時給1000円」はどういう基準?
〈問い〉 日本共産党は貧困打開にむけて、最低賃金を「時給1000円以上に」とかかげています。どういう基準にもとづいたものですか。(大阪・一読者)
〈答え〉 日本共産党は、最低賃金を時給1000円以上に引き上げ、全国一律最低賃金制を確立することを要求しています。この要求は、全労連など多くの労働組合がかかげているものであり、日本共産党はこれを支持し、その実現に全力をあげています。
時給1000円以上という水準は、国際基準を踏まえたものです。最低賃金を決める国際基準は、「労働者とその家族の必要」や「生計費」(ILO131号条約)です。発展途上国の場合にのみ「経済的要素」を考慮することが認められています(同条約)。
具体的な金額を決める場合に各国が採用しているのは、労働者の平均的賃金の50%以上にするという基準です。
OECD(経済協力開発機構)やEU(ヨーロッパ連合)は、平均所得の50%以下の所得しかない状態を「貧困」と規定しています。相対的貧困率という考えです。最低賃金は労働者の最低限の賃金ですから、貧困におちいらずに働ける水準にするために、50%以上というのが基準です。
最低賃金が労働者の平均賃金に占める割合は、以下のとおりです。スペイン40%、フランス47%、ベルギー40%、オランダ46%、イギリス37%、アイルランド52%、ルクセンブルク50%、アメリカ33%、日本28%です(EU資料、2007年)。EUは、最低賃金を当面、労働者の平均的賃金の50%、さらに60%に引き上げることをめざしています。
日本の立ち遅れは明らかです。貧困打開のために、さしあたり時給1000円以上の実現が緊急に求められます。
全労連は最近、首都圏と東北地方の最低生計費調査をおこないましたが、いずれも若年単身者の必要最低生計費が1000円以上になっています。時給1000円以上というのは、労働者の実態に照らしても、切実な要求になっています。(筒)
〔2009・9・26(土)〕