2009年9月30日(水)「しんぶん赤旗」
中小業者の支援切実
新政権に公約実現迫る
仕事9割減 廃業つづく
共産党、要請聞き全力
廃業や倒産がつづく中小企業。建設、製造、小売など中小業者の組織、全国商工団体連合会(全商連)は「地域を支える中小業者の支援を」と訴える署名を呼びかけ、政府に中小企業支援の公約実現を迫っています。(栗原千鶴)
「おととしくらいから仕事が減りはじめ、昨年の10月、一気に仕事がなくなりました」。こう話すのは東京都大田区で工場を経営する藤原弘明さん(41)=仮名=。蒲田民主商工会の会員です。現在は、4人の従業員を雇っています。主な仕事は、工作機械の部品作りです。
「熟練の技が必要で、誰でもできるものではありません。縁があってうちに来てくれた従業員ですから、自分の工場で育てるという気持ちでやってきました。仕事がないからとクビにするようなことはできません」
今年3月から6月、仕事は通常の8割〜9割減。8月にやっとまとまった仕事が入ってきたといいます。貯金をとり崩して従業員の給料を払い、自らは3月から手取りはありません。
家賃補助ぜひ
「いつ仕事が入るかが分からない状態ですから不安です。せめて社員の社会保険料や厚生年金などの支払いを延期してほしい」と藤原さんは語ります。
こうした社会保障負担や、工場の家賃、設備のリースやローンなど、工場維持のための固定費への支援は切実です。
「廃業していく仲間の多くは、借り工場の人です。仕事がないのに家賃を払うのはきつい。せめて家賃補助を実施すれば、辞めなくていい工場もあるはず。うちは自社工場だけど、家賃補助はぜひ実現してほしい」と話します。
全商連運動政策局の中山眞さんは「所得が200万円以下の業者も増えてきています。旅館の廃業だとか、建設業で月に3日しか仕事がないなどといった話も聞きます」と従業員の雇用を守り、必死でがんばる中小業者の実情を話します。それだけに「平気で首を切る大企業は何をやっているのか」と怒ります。
まだ骨格だけ
新しい連立政権は、政策に「中小企業の支援を強化する」として、下請け業者のいじめを防止するための法整備や、貸し渋り対策、貸し付け条件の変更などを掲げています。これらは民商が、要求し運動をすすめてきたものです。
しかし、全商連の中山さんはいいます。「これらの政策は、まだ骨格しか見えていません。本当に実効性のあるものになるのかはこれからの私たちの運動にかかっています。業者の実態を国会に届け、業者が使いやすい中身として実現していくことが大事です。署名とあわせて国会議員への要請など、積極的に進めていきたい」
経済再生の力
日本共産党は、中小業者は「地域の雇用を守り、日本経済再生の力となる」として、国会内外で中小業者への支援を訴えてきました。
今年4月16日には志位和夫委員長、吉井英勝衆院議員が全商連の幹部らと懇談。そこで出された緊急要求を踏まえ、吉井議員は5月22日、衆院経済産業委員会で「緊急に工場維持のための家賃補助などの固定費を軽減する補助制度を考えるなり、設備投資への助成を考えるべきではないか」と質問しました。二階俊博経済産業相(当時)は「救済策、対応策を即刻考えたい」と答弁。経産省の職員が大田区と東大阪市に、調査に入りました。
全業種を対象にした「緊急保証」の制度や、融資の据え置き、学校などの耐震補強やバリアフリー化、太陽光パネルの設置などを地域工務店と結びつけて仕事を確保することなど、政府に求めています。
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