2009年10月6日(火)「しんぶん赤旗」
国幹会議廃止するが…
外環道など「決定」も見直しを
住民無視の追認機関
高速道路建設のあり方をめぐり新政権の対応が問われています。前原誠司国土交通相は9月29日の記者会見で、高速道路建設にお墨付きを与える役割を果たしてきた国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)の廃止を明言。一方で、東京外郭環状道路(外環道)の練馬―世田谷間16キロの整備計画路線への格上げなど、4月の国幹会議で決められた事項については「踏襲する」としています。
議論は数分
国幹会議は国交相の諮問機関で、現在は自民、民主両党の国会議員10人と日本経団連会長を含む「学識経験者」10人で構成されています。建設計画の策定など高速道路建設の主要な手続きには国幹会議の決定が必要とされていますが、実態は「急に招集され議論は数分」(前原国交相)というもの。国交省が策定した建設計画に正当性を与えるだけの機関に形骸(けいがい)化しています。
国幹会議の委員に配布される資料も、道路建設による交通渋滞の解消や走行時間の短縮、二酸化炭素排出量の削減といった効果は最大限に宣伝する一方、建設に異議をとなえる住民の意見は報告すらしていませんでした。
日本共産党の笠井亮衆院議員は昨年2月の予算委員会で、外環道の前記区間の建設について住民や沿線自治体首長から反対意見が出ているにもかかわらず、国幹会議の資料に反映されていないことを指摘。「なぜそういう資料を出さないのか」と厳しく批判しました。
当時の冬柴鉄三国交相は「特殊な意見もある」などと述べ、反対意見の切り捨てを当然視しました。
無責任の声
住民の強い反対を押し切って進められようとしていた鞆(とも)の浦の埋め立て・架橋計画に司法の厳しい審判が下ったように、公共事業は情報開示と住民参加型への転換が求められています。高速道路についても、建設にお墨付きを与えるだけの国幹会議廃止は当然であり、建設を国会の承認案件にするなど改革が必要です。
同時に、4月の国幹会議が決定した新たな高速道路の事業化についても見直しが必要です。前原国交相は、国幹会議に民主党議員が参加し、反対しなかったことを「踏襲」の理由としていますが、住民合意や必要性に疑いのある計画をただ追認するのでは無責任のそしりは免れません。民主党が自公政権時代に9342キロメートルを超える新たな高速道路建設計画を批判し、「ムダ遣いの一掃」と言ってきたことからいっても、外環道は見直しこそ本筋です。(佐久間亮)
共産党は廃止要求
笠井亮衆院議員の話 形骸化していた国幹会議のあり方を抜本的に見直すよう、わが党は一貫して求めてきました。この国幹会議廃止は当然です。今後、高速道路など大型公共事業については、案件ごとに国会で承認を受けるなど、仕組みを抜本的に改めるべきです。
同時に、今年4月の国幹会議で決定を強行した、1メートル当たり1億円もの東京外環道(練馬―世田谷区間、地上部計画を含め総額1兆8000億円)についても、うたい文句だった東京オリンピックもなくなったのですから、政府は、補正予算の「減額」ではなく、事業計画そのものを根本的に見直し、撤回に踏み切るべきです。
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