2009年10月7日(水)「しんぶん赤旗」
空自イラク空輸 実績判明
米軍関係が63%
当初(04年)から武装兵運ぶ
本紙請求に全面開示
防衛省はこのほど、本紙記者が情報公開法に基づいて開示請求した航空自衛隊イラク派兵の「週間空輸実績」を全面開示しました。イラクでの活動を開始した04年3月3日から、最後の空輸となった昨年12月12日までの全記録が明らかになったのは初めてです。自公政権当時の防衛省は、イラク派兵差止訴訟団などの開示請求に対して活動実態が分からない黒塗りの文書しか開示していませんでした。
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空自のイラク派兵が昨年終了したのを受けて、本紙記者は今年1月に請求しましたが、5月に「人員・貨物の内容を明らかにすれば、輸送対象である他国部隊の動向が把握され、関係諸国・関係機関との信頼関係を損なう」などとして、従来どおりの黒塗りの文書を開示。これに対して不服審査請求を行ったところ、北沢俊美防衛相名で「現時点で不開示とする理由がない」とする9月24日付の決定書とともに、全面開示された文書が送付されました。
本紙の集計によると、空輸人数は総計約4万5000人で、このうち米軍・米軍属が約63%を占めます。次いで多いのが04年から06年7月までイラク南部サマワで活動していた陸上自衛隊員をはじめ、自衛隊・防衛省関係者で約26%。自公政権が「イラク復興支援」の象徴として宣伝していた国連職員の空輸は全体の約6%。同職員の空輸が始まった06年9月以降に限っても、1割程度にとどまっています。
文書は数百ページにおよび、空輸日時、回数、発着地と人員の所属・人数、貨物の種類・数量を記載。空輸を開始した04年3月3日、空自C130輸送機がサマワに医療機器を輸送したことから、自公政権は「イラク復興支援」だとして大宣伝していました。
ところが、今回明らかになった文書を見ると、翌週の3月12日から車両や航空機部品などの米軍器材が輸送され、さらに19日には武装米兵の空輸が始まりました。「週間空輸実績」によると、米陸軍10人、軍属6人でM16ライフル銃と拳銃を携行していました。復興支援とは無縁の、対イラク軍事作戦の一端を担っていた実態が明白となりました。
自衛隊のイラク派兵 イラク戦争に踏み切ったブッシュ米政権の軍事作戦支援のため、03年7月に自公政権が強行したイラク特措法に基づき、同年12月から派兵開始。派兵人数は陸自約5600人、空自約5200人、海自約320人(いずれも延べ人数)。戦後初めての「戦地派兵」で、08年4月に名古屋高裁が「憲法9条違反」と判断しました。