2009年10月8日(木)「しんぶん赤旗」
やんばる林道中断
共産党議員に県が意向
沖縄
沖縄にしかない貴重な自然、やんばる(県北部)で県がすすめる林道2路線の整備事業に関し県は7日、事業を一時中断する意向を明らかにしました。沖縄県議会9月定例会の経済労働委員会(玉城ノブ子委員長=日本共産党)で、日本共産党の渡久地修県議に答えたものです。
渡久地県議は、費用対効果を算出する便益計算書の基礎データが欠落していた実態を明らかにしました。これにたいし、比嘉俊昭農林水産部長は、完了した3路線および今年度予定の2路線を含む5路線で合理性に欠く算定があった事実を認め、「費用対効果の積算を再度行いたい」と回答。新たな積算書ができるまでの間は、事業に着手しない考えを明らかにしました。
中断の対象となるのは、国頭村の伊江I号支線(550メートル)と伊江原支線(700メートル)の県営林道2路線。2009年度予算には、林道整備関連予算として約1億2千万円が計上されていました。
渡久地県議は、「先に公共工事ありきの事業で、後で費用対効果を出すこと自体無理がある。再積算すれば費用対効果が成り立たなくなることは明らか。貴重なやんばるの自然を破壊する林道建設はただちに中止すべきです」と話しています。
やんばるの森 世界遺産登録候補地で、国特別天然記念物のノグチゲラやヤンバルクイナなど貴重種が多く生息する「生物多様性の宝庫」。県の調査でも、絶滅の恐れがある希少動植物129種が確認されています。国際自然保護連合(IUCN)は、2000年と04年の2度にわたり、貴重種の生息地の保全を求める勧告を行っています。
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