2009年10月8日(木)「しんぶん赤旗」
トヨタのテストコース着工
環境調査続け延期
愛知
愛知県豊田、岡崎両市ですすめられているトヨタ自動車のテストコース造成計画の着工が1年延期されることになりました。
愛知県企業庁は7日、自然環境保全技術検討会を開き、建設予定地の環境調査を2010年まで延長することを決定。そのため、同年に着手予定だった造成作業が事実上、1年先送りされることになります。
同計画は、県企業庁が660ヘクタールの用地を買収・造成し、その後トヨタ自動車が買い取り、テストコースや研究開発施設を建てるもの。
造成完了まで約1750億円の総事業費が見込まれていますが、詳細は明らかにされていません。
県企業庁は4〜8月、造成予定地の里山などの環境調査を実施し、絶滅危惧(きぐ)種の「ミゾゴイ」の生息を確認。ミゾゴイは日本のみで繁殖が確認されている森林性のサギ類で、保全対策を検討するため、生息状況の調査を2010年もおこなうことにしたものです。
予定地には、これまでもヤマネ、ニホンカモシカなどの国指定天然記念物や、サシバなどレッドリスト(絶滅の恐れのある野生生物)に指定されている種が約30種確認されています。昨年9月にはサシバやオオタカの保全のため、造成地域内の改変面積を3分の2に縮小することにしています。
県内の17の自然保護団体が加盟している愛知県野鳥保護連絡協議会(大羽康利議長)は、県とは別に調査をしてミゾゴイの生息を確認。県企業庁とトヨタ自動車に対してミゾゴイの保護施策と、同事業の撤回・見直しを申し入れていました。
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