2009年10月10日(土)「しんぶん赤旗」
突然解雇の若者・高齢ホームレス…
東京の主要駅「派遣村」状態
街頭相談に続々 民青同盟呼びかけ
雇用状況に改善の兆しどころか、悪化する一方です。日本民主青年同盟東京都委員会が呼びかけた学生ボランティアによる「街頭労働相談」には、ホームレスの高齢者や解雇された若者などが次々と訪れます。7日夜、東京・新宿駅前で行われた街頭相談からだけでも、「緊急雇用・失業対策は待ったなし」の現状が鮮明になりました。(豊田栄光)
「あのぅ、今月初めに突然、約600人の従業員全員に解雇が通知されました。どう対応したらいいのでしょうか」。同僚の20代女性3人は困惑していました。
3月に学校を卒業、4月から働きはじめたばかり。勤め先は通信や損害保険の取り次ぎ業務を行う新宿に本社がある会社でした。
女性の一人は「8、9月とお給料はでていません。所持金は残り1万円。これでは家賃も払えません」と涙目です。
学生ら参加
街頭相談は2008年4月に始まり、7日は23回目でした。これまで13大学、延べ103人の学生がボランティアとして参加しています。
再び相談に訪れる若者もいます。26歳のAさんは今年6月にやってきた男性です。
Aさんは数年間、派遣労働者として日産、いすゞ、シャープなどの工場を転々としました。「半年ほどで神奈川県、三重県などと移動させられる。そんな生活に疲れた」。しかし派遣以外に道はなく、その派遣の仕事も4月に失いました。
Aさんは6月の相談を契機に公的施設へ入所。しかし、わけあって施設を退所し、再び路上生活に戻っていました。8日に、ボランティアとともにハローワークに出向き、住み込み可能な職場を探しました。
「都や区の宿泊所に入っても、生活できる仕事を見つけられず、期限がきて施設を追い出され、再びホームレスになる人は多い」。こう語るのは、学生ボランティアを応援する日本共産党東京都委員会・青年学生部長の田川豊さんです。
「東京の主要駅はみな『派遣村』状態。最近は日雇いでしのいでいた高齢者が仕事を失い路上生活者になるケースが目立つ」ともいいます。
輪が広がる
67歳の男性Bさんは1年ほど前に茨城県から新宿にやってきました。「仕事が減り、住み込みの土木現場に居づらくなった」ためです。5年前の脳梗塞(こうそく)の後遺症で少し足が不自由になっていました。8日、ボランティアとともに新宿区の福祉事務所を訪問し、生活保護を申請しました。
この日、Bさんを街頭相談に連れてきたのは、ホームレスの世話をしている元ホームレスでキリスト教信者のCさん。以前、この街頭相談にやってきました。
Cさんは「日本共産党は本当に信頼できる政党だ」といいます。この日、Cさんは通っている教会の河野健牧師を街頭相談に連れてきました。
河野牧師は「共産党には少し抵抗がありますが、社会正義を実現したいと願っている政党だと思います」と語ります。ホームレスに戻っていた26歳のAさんは河野牧師の教会に宿泊し、久しぶりにお風呂に入ることができました。
「仕事の面接にプラスになりました」とほほえむAさん。学生ボランティアが始めた街頭相談活動は、少しずつ輪を広げています。