2009年10月10日(土)「しんぶん赤旗」
アメリカを「複眼でとらえる」とは?
〈問い〉 日本共産党創立87周年記念講演などで、志位和夫委員長が「アメリカを複眼でとらえる」と言っています。これまでアメリカを「帝国主義」と言ってきたこととの関係は、どうなのでしょうか。(埼玉・一読者)
〈答え〉 志位和夫委員長が「アメリカを複眼でとらえる」と述べたのは、アメリカの対外政策のうち、核兵器廃絶へのイニシアチブの発揮など「前向きに変化した部分」と、日本の米軍基地問題やアフガンでの軍事作戦など「変化しない部分」とを区別して見るということです。これは、アメリカを党の綱領路線の立場で見ているのです。
日本共産党は、2004年の第23回党大会での党綱領改定にあたって、それまで独占資本主義国は侵略性をもつ帝国主義と特徴づけてきたことを見直しました。
それは、時代の変化のなかで独占資本主義国の行動のすべてを「帝国主義」と決めつけられない、今後は「帝国主義」という用語を、「その国の政策と行動に、侵略性が体系的に現れている」場合に使い、問題の性格と各国の行動の一つ一つを吟味し判断することにしました。この基準で見て、アメリカの対外政策を「帝国主義」と規定しています。同時にそのアメリカも、ときには健全な行動をとりうるし、実態を見て判断していくことを確認しています。
実際、世界は大きく変わりつつあり、その流れのなかで、アメリカの対外政策にも変化が現れています。国際社会がこれまでのようにアメリカ一国の意思で動かせるものではなくなっていることを、アメリカの支配勢力も認めざるを得なくなっています。
ですからアメリカの対外政策を分析しながら、前向きの方向への変化をうながし、変化しない覇権主義の部分を厳しく批判する方向で働きかけることが、日本の政治の前向きの変化を促進するうえでも重要になっています。アメリカの変化しない部分にだけしがみつく軍事同盟絶対の政治からぬけだし、自主・自立の平和外交へと踏みだすことが求められています。(石)〔2009・10・10(土)〕