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2009年10月14日(水)「しんぶん赤旗」

主張

温暖化対策交渉

期限内の合意に政治決断を


 地球温暖化対策の次期枠組みを決める国際交渉は、期限となるコペンハーゲンでの会議(COP15)まで2カ月を切りました。しかし、合意の見通しはなお開けていません。9日までバンコクで行われた国連の作業部会も本格的な交渉には入らないまま、論点整理に終始しました。政府や非政府組織(NGO)関係者の間には、残された時間が減るなかで大きな進展がないことへのいらだちが広がっています。

先進国の野心的な削減

 コペンハーゲンまでに残る交渉機会は、今月ロンドンでの主要排出国会合と11月上旬のバルセロナでの国連会合です。COP15を主宰するデンマーク政府は新たな首脳会議開催の必要も指摘しています。各国政府にはいま大胆な政治決断が求められています。

 地球環境を維持するうえで、地表の平均気温は人間の体温にもなぞらえられます。気温上昇を、産業革命以前に比べわずか「2度以内」に抑えなければならないことが、世界のコンセンサスです。今年の主要国(G8)サミットも初めてこの基準を認めました。

 気温上昇をもたらす温室効果ガスの排出をだれが、どれだけ抑えるかが焦点です。とりわけ大量に排出し続けている先進国は、2020年までに1990年比で25〜40%削減すべきだとするのが科学の要請です。温暖化による海面上昇で国土を失うことへの危機感を抱く島しょ諸国は、45%以上の大幅削減も主張しています。

 先進国が野心的な削減に合意することが交渉を成功に導く最大の要素です。鳩山由紀夫首相が25%削減を打ち出したことは交渉に弾みをつけると大きく歓迎され、各国が続くことが期待されています。しかし、バンコクでの新たな表明は、削減幅を40%に引き上げたノルウェーだけでした。

 米国のオバマ政権は温暖化対策に積極的な姿勢を示しています。しかし実質削減に踏み込んでいません。米上院に提出された2005年比20%削減の法案は、コペンハーゲン後に結論が持ち越される公算が大です。米国は京都議定書に盛り込まれたメカニズムを全面的に作り直すことも要求し、新たな障害になっています。米国は温暖化対策の責任を負うべきであり、オバマ大統領の指導力が求められています。

 日本には新たな注文もつきました。主要国の合意を25%削減の前提とすべきではないという点が一つです。欧州連合(EU)の目標は20%ですが、他の先進国が大幅削減に合意すれば30%に引き上げるとしています。日本も、合意の行方にかかわらず、自らの責任として25%を削減すべきです。

産業界との削減協定を

 日本には25%削減の具体策を示すことも求められています。国内でどれだけ削減するか、外国から購入する削減分を含めるのか。交渉を加速し、合意の達成を促すためにも、国内削減量の速やかな提示が迫られています。

 そのためには排出量の大部分を占める産業界に実効ある規制をかけることが不可欠です。日本共産党は、政府が大口排出源である業界・企業と削減の期限と目標を明示した公的な削減協定を結び、実行を追求するよう主張しています。財界が排出規制に反対するなか、協定締結に踏み込めるかどうかが鳩山政権に問われています。



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