2009年10月17日(土)「しんぶん赤旗」
沖縄 泡瀬干潟開発差し止め
控訴審判決
“豊かな海 残せる”
感無量 住民ら勝利喜ぶ
沖縄市泡瀬干潟の埋め立て・開発事業への公金支出差し止めを命じる福岡高裁那覇支部の控訴審判決が出た15日夜、沖縄県うるま市内で原告、弁護団、支援者らが集まり勝利の集いが開かれました。参加者らは、泡瀬干潟で取れた貝などを味わいながら、顔をほころばせました。
参加者らは次々にマイクを握り喜びを語りました。「あるがままの自然を子どもたちに引き継ぐことが今日の判決で果たせたと思う」。原告で意見陳述も行った女性(62)は豊かな自然を残せることに胸をなでおろします。
原告の男性(63)は「とてもうれしい。判決で国や県の開発事業はずさんなところもあると指摘している。これからは海も山も守っていくために頑張っていこうと思う」と表情を崩しました。
10年ほど前に泡瀬干潟を訪れ、その後、守る活動を続けてきた女性(40)は、思い出を語りました。「貝がいっぱいとれる海があると誘われて泡瀬に行った。あんなにカラフルで生き物が多い海は初めてだった。埋め立てを聞いてこの海にリゾートをつくるという人は何を考えているのかと思った」。勝利判決には「感無量。あきらめない大切さを教わった」といいます。
つどいの最後に泡瀬干潟がきっかけとなり沖縄のミュージシャンが集まって自然を守っていこうとつくった「メッセージ―語り人の詩」が歌われ、完全に保全が行われるまで頑張っていく決意が固められました。
日本共産党の池原秀明沖縄市議は、これまでの経過を振り返りました。「本当に自然が豊かなことが分かってきた。生物多様性の運動が勝利に生きたと万感の思いだ」
ムダな公共工事 上告やめよ
共産党県議団 沖縄県に要請
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沖縄市泡瀬干潟の埋め立て・開発事業への公金支出差し止めを命じる控訴審判決を受け日本共産党沖縄県議団は16日、沖縄県に判決を厳粛に受け止め上告しないよう要請しました。
嘉陽宗儀県議団長は、「議会のたびに無駄な公共工事であると指摘してきた。(公金差し止めを命じた)地裁の判決が出ても県は工事を続けてきた。控訴審判決は経済的合理性がないとして公金支出は違法と明確にした。すぐに工事をストップするべきだ」と求めました。
応対した仲田文昭土木建築部長は「判決の内容を検討している最中。国や市の意向を確認して県としての方針を確定させたい」と答えました。
5人の県議全員がそれぞれ県に対応を迫りました。前田政明幹事長は「時間を浪費することなく今も続いているムダな工事、これ以上の自然破壊、税金の投入をやめるべきだ」。玉城ノブ子県議は「県が主体性のない態度ではダメだ。民意として受け止め上告を断念してほしい」と求めました。
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