2009年10月17日(土)「しんぶん赤旗」
全国いっせい学力テストになぜ反対?
〈問い〉 いま全国いっせい学力テストの「見直し」が言われています。日本共産党は中止を求めていますが、どんな理由からでしょうか。 (愛知・一読者)
〈答え〉 今年4月に3回目が実施された全国いっせい学力テストには、教育学者や保護者からも批判の声が出ています。
テストの平均点が都道府県別に公表されることで、「順位をあげろ」と点数競争が起き、「点数が低い」と知事が教育委員会をしかりつけ、教育委員会が校長を呼びつけるなど、学校が競争に駆り立てられています。
全国学力テストの対象は国語と算数・数学だけで、しかも「特定の一部分」にすぎないことは文部科学省も認めています。ところが学力テストの平均点を上げることが「学力向上」だと短絡的に受けとめられ、それが教育の目的のすべてであるかのような風潮を生んでいるのです。
その結果、学力テストの実施前に類似問題を繰り返し「予備テスト」「事前テスト」としてやらせるなど、教育内容が学力テスト対策に偏り、ゆがめられています。ドリル学習が重視され、分かる喜びを感じられるように創意工夫した授業ができなくなってきています。
秋田県や鳥取県、大阪府では市町村別、学校別の結果の公表・開示が行われ、競争はいっそう激しくなるばかりです。
文科省はいっせいテストの理由を「学習指導の改善に役立てるため」と説明していました。しかし結果が返ってくるのは数カ月後で、しかも問題ごとにできたかできなかったかの「○×」が分かるだけです。到底、具体的な改善などできません。
指導の改善には、子どもがどこで間違ったか、どこが理解できていないかを詳しく把握することが大切です。実際に教えている教師が問題をつくり、採点してこそ、それができます。
全国の子どもの学力状況を把握するためであれば抽出調査で十分です。川端達夫文科相も学力テストについて「抽出調査でいいのではないかという議論もある」と発言しています。日本共産党は「百害あって一利なし」である全国学力テストを即刻中止するよう求めます。(史)
〔2009・10・17(土)〕