2009年10月21日(水)「しんぶん赤旗」
期間工切り
いすゞの違法 再び断罪
宇都宮地裁支部「財務上も必要乏しい」
いすゞ自動車栃木工場(栃木県大平町)の元社員3人が、「非正規切り」による賃金カットは違法だと訴えていた仮処分裁判で、宇都宮地裁栃木支部(橋本英史裁判官)は20日、いすゞの違法行為を再び認定し、労働者側の訴えを全面的に認める決定を出しました。
申し立てていたのはJMIU(全日本金属情報機器労組)いすゞ自動車支部の松本浩利委員長ら3人。同支部は5月、いすゞの違法性を認める決定を出し、会社が異議申し立てをおこなっていました。
同社は期間社員ら1400人を昨年12月26日付で期間途中で解雇すると通告。世論に押されて期間社員の解雇は撤回したものの、新たに希望退職を募集し、応じない場合は休業扱いとし賃金を60%にカットしました。
決定は、期間労働者に対する中途解雇は労働契約法で原則禁止されており、正社員と比べて「高度の合理性を要する」と指摘。労働組合との合意もなく期間社員に不利益を強いるのは、「均衡処遇」に反した「処遇上の差別であり看過できない」「財務状況から見ても休業手当と賃金カットをする必要性は甚だ乏しい」と断罪しました。
宇都宮市内の栃木県労連事務所で記者会見した松本委員長は「いすゞの違法性は明白になった。偽装請負などで働かせておいて雇い止めしたやり方は許されない。真摯(しんし)に決定を受け止め、正社員にするよう求めていく」と話しました。