2009年10月21日(水)「しんぶん赤旗」
普天間爆音訴訟
日米合意にも逸脱
宜野湾市長伊波氏証言 「国は規制意思なし」
沖縄県宜野湾市にある米軍普天間基地の周辺住民が国に米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めや損害賠償などを求めた普天間爆音訴訟で20日、伊波洋一宜野湾市長の証人尋問が福岡高裁那覇支部で行われました。伊波市長は、日米で合意した騒音規制措置や日本国内でも実施可能な米国の安全に逸脱した飛行状況が続いていることを証言。「国は合意内容が維持されているか把握していない。本来規制されるべきもの(飛行)に国は規制する意思がまったくない」と述べました。
日米合同委員会で合意した騒音規制措置は、学校、病院を含む人口密集地域の上空を避けることや午後10時から午前6時までの飛行の制限を盛り込んでいます。また、日本国内でも適用可能な米国の基準では安全確保のために「クリアゾーン」として開発を制限する地域の設置を義務づけています。
伊波市長は騒音発生回数が、午後10時から同11時の1時間に40回ほどになることや騒音測定器を設置している市内の上大謝名(おおじゃな)地区では2000年度からの3年間は毎年約3万回に達したことを証言。ジェット戦闘機の騒音が増えていることなども訴えました。人口密集地域上空の飛行回避については、周辺に学校や病院など公共施設が121カ所あり、市の中心部を米軍が強制的に奪って基地にしたため、住民は周囲に住居を構えなくてはならなかったことから住宅街が隣接し「避けること自体が無理」としました。
設置が義務付けられているはずの「クリアゾーン」については、民間地域や小学校に大きく張り出しており、設置するためには基地を小さくする必要があることなどを語りました。