2009年10月21日(水)「しんぶん赤旗」
自営業者の家族は労賃が認められない?
〈問い〉業者婦人が「私の働き分を労賃に認めて」と運動しています。日本共産党は自営業者の家族の労賃をどう考えますか。(千葉・一読者)
〈答え〉日本では個人事業主が、生計を一にしている配偶者とその他親族の働き分(自家労賃)を支払っても、事業上必要な経費として認めない税制が残されています。根拠となっているのが所得税法56条です。
個人事業者は、この税制のために、一緒に働いている家族の働き分を人件費に計上できず、所得とみなされて課税されるという不利益を被っています。
家族従業者は、給料を受けても労働者の所得として扱われず、独立した個人としての人格を認められないという人権侵害を受けています。また国保での傷病手当や出産手当が支給されない、ローンが組めない、事故の際の保険算定が低いなど、さまざまな差別を受けています。
これは戸主のみを納税者として処遇し、家族全体の所得を合算して戸主の名で納税させていた、戦前の家父長制的課税関係の残滓(ざんし)が清算されていないからです。欧米では早くから家族従業者の給与は必要経費とされてきており、日本でも速やかに改められるべきです。
日本共産党は所得税法56条を廃止し、家族従業者の働き分を認めるよう主張しています。
全国商工団体連合会婦人部協議会(全婦協)は100万目標の「所得税法第56条廃止請願署名」運動を展開しています。地方自治体の廃止決議は126(8日)に広がり、各地の税理士会も過半数が廃止の意見を出しています。7月の国連女性差別撤廃委員会には全婦協代表らが出席、この56条の不当性が取り上げられました。
政府も、家族従業者への支払いを経費として一切認めない矛盾を和らげようと、家族従業者1人に50万円(配偶者は86万円)を必要経費とみなしてきました。今年3月の参院財政金融委員会では、日本共産党の大門実紀史議員の廃止の求めに対し、与謝野馨財務相が「研究する」と答えています。所得税法第56条は速やかに廃止すべきです。(吉)
〔2009・10・21(水)〕