2009年10月23日(金)「しんぶん赤旗」
「子ども手当」の財源へ
扶養控除廃止なら 500万人庶民増税
老親抱える世帯など直撃
中学校卒業までの子どもに1人当たり月2万6千円を支給する子ども手当の財源として、所得税の扶養控除を2010年度にも廃止する動きが、政権内で出ています。
当初は、子ども手当が完全実施される11年度以降に扶養控除と配偶者控除を廃止する方針でした。しかし、子ども手当の財源5・3兆円の捻出(ねんしゅつ)が難航しているため、扶養控除については廃止の時期を前倒しする案が浮上しているのです。
峰崎直樹財務副大臣は「子ども手当があるのに扶養控除もまだ継続するのかという議論になる」(10日)と述べ、増税になっても手当と相殺されるので、国民の理解は得られるとの見方を示しています。
しかし、扶養控除の廃止の影響は、子ども手当を受け取れない世帯にも及びます。23歳以上で学業や病気などのため働けない子どもを扶養している場合や、70歳未満の親・きょうだいなどを扶養している場合などです。本紙の試算では、人数にして400万〜500万人分です。深刻な事情を抱える世帯もあり、控除廃止の影響は軽視できません。
扶養控除廃止で生まれる財源は約8000億円。うち2000億円が23〜69歳の分です。2000億円は、子ども手当全体の財源規模の3・7%で、手当の月額でいえば1000円分です。5兆円にのぼる軍事費の一部を削る、手当の額を調整するなど、一部の国民に増税でしわ寄せしない方法はあるはずです。
子育てへの経済的支援の拡充は必要ですが、実施に当たっては国民の納得を得られる内容と方法を探求することが、政権には求められます。(坂井希)
扶養控除 0〜15歳までと23〜69歳までの所得のない親族を扶養している場合に、税負担を軽減する仕組み。所得税を計算する際、扶養親族1人につき38万円を所得から差し引くことができ、その分には税金がかかりません。民主党は、特定扶養控除(16〜22歳)と老人扶養控除(70歳以上)については存続させるとしています。