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2009年10月27日(火)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が26日の国会議員団総会で行ったあいさつは以下の通りです。

「期待」「不安」「探求」――国民の気持ちすべてにこたえる奮闘を

写真

(写真)議員団総会であいさつする志位和夫委員長=26日、衆院第1議員会館

 みなさん、おはようございます。臨時国会の開会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。

 この臨時国会は、国民が自公政権に退場の審判を下し、民主党政権がつくられたもとでの初めての論戦の舞台となります。国民は、この国会に大きな関心と期待を寄せていると思います。ですから、私たちの国会にのぞむ姿勢としては、国民のみなさんの気持ちにそくして、一緒になって新しい日本の進路を見いだしていくという姿勢での論戦が大切だと思います。

 新政権が発足したもとで、いま国民が政治に対してどういう気持ちをいだいているか。私は端的にいってキーワードが三つあると思います。

 一つは、「政治を変えてほしい」という「期待」であります。これは非常に強いものがあります。

 二つ目は、「本当に変わるのか」「財源は大丈夫か」などの「不安」であります。

 そして三つ目は、自公政権に代わって、どういう新しい政治が必要か、その真剣な「探求」であります。

 私たちは、「建設的野党」として、国民の「期待」、「不安」、「探求」、これらのすべてに前向きの答えを出すように、がんばりぬきたいと思います。(「よし」の声、拍手)

「期待」――国民のたたかいと道理にたった論戦こそ

 国民の「期待」にこたえて、政治を前に動かす仕事についてのべますと、私たちは、新政権に対して、「良いことには協力する」と表明してきました。しかし、その実現を確かなものにするためには、また、国民にとってより良いものとして実現するためには、新政権まかせというわけにはいきません。国民のたたかいをおこし、国会で道理にたった論戦を行って、はじめて実現に道がひらかれます。

 たとえば、後期高齢者医療制度の問題であります。厚生労働大臣は、「廃止に向けて元に戻すのではなく、4年以内にそのまま新しい制度に移行していく」と発言しました。これは、「新しい制度」ができるまでは、この差別医療制度の撤廃を先送りするということを表明したものにほかなりません。この発言に対して、「4年も待てない」という強い怒りの声がおこっているのは当然です。

 この問題については、私たちは、希代の差別医療制度は先送りでなく、ただちに廃止し、元の老人保健制度に戻し、そのうえで適切な改善を図るべきだと、これこそ国民多数の声だと、新政権に強く求めていくものです。(「よし」の声、拍手)

 いまいったことは、かつて野党4党で、この制度の撤廃法案を提出したときに、民主党の代表者も主張してきたことであり、これまでの方針の変更の理由は何かということを、ただしていきたいと思います。

 政治を一つひとつ動かすためには、どんな問題でも、たたかいと論戦があってこそ前に動きます。わが党の真価を発揮したがんばりを、やっていきたいと思います。

「不安」――財源問題で三つの根本的見直しを求める

 国民の新政権にたいする「不安」にこたえた取り組みについていいますと、私たちは民主党政権の問題点、間違った点については、条理をつくしてただす論戦を行っていきたいと思います。

 この臨時国会は、新政権が来年度予算案、すなわち新政権のもとでの初めての予算案を編成する作業と同時並行で行われます。先日発表された来年度予算の概算要求をみますと、総額で95兆円を超える史上最大の規模になりました。

 もちろん、このなかには、国民の要求にかなった内容も含まれています。同時に、「いったい財源は大丈夫か」という不安と心配の声も寄せられています。来年度予算案がどうなるかは、予断をもっていえませんけれども、私たちは現時点で、ここは問題だと、ここは見直すべきだという点に、きちんとものをいっていきたいと思います。

 一つは、税金の使い方の優先順位という問題です。高速道路の無料化ということがいわれていますが、これが税金の使い道と優先順位として正しいか。環境とのかかわりでも慎重な吟味が必要ではないか。私たちは、高速道路より福祉が優先されるべきという立場でのぞみたいと思います。

 二つ目は、財源を庶民増税に求めるという問題です。子ども手当の拡充は当然でありますが、その財源を扶養控除と配偶者控除の廃止に求めるというやり方に、私たちはくみするわけにはいきません。この問題では、私たちのもとに、毎日のように不安と怒りの声が寄せられています。国民の一部を犠牲にして一部にまわすというやり方では、国民の理解はえられません。これもたださなければならない大きな問題です。

 三つ目は、軍事費と大企業・大資産家優遇という「二つの聖域」にメスを入れるという姿勢がみられないということです。軍事費についていうと、防衛省が出した概算要求は、自公政権の今年度の予算とほとんど同じ額の内容でした。「思いやり予算」についてもまったく変わらない額を計上しています。こういうものこそ、抜本的縮減のメスを入れるべきではないか。大企業や大資産家に対するゆきすぎた優遇税制にこそメスを入れるべきではないか。こうした論戦は、日本共産党だけができる論戦ですから、大いに力を入れて取り組みたいと思います。

「探求」――「二つの政治悪」を浮き彫りにし、新しい日本への道筋を

 こうした仕事と一体に、新しい政治への「探求」にこたえる仕事を行いたいと思います。新政権の閣僚からは、さまざまな個々の発言が続きます。いろいろな発言が毎日のニュースをにぎわしているわけですが、この日本を全体としてどうしたいのか、新しい日本の全体像については語られているとはいえないと思います。個々のさまざまな議論はありますが、全体像がみえてこない。しかし、国民はそれをこそ求めていると思います。自公政権に代わって、どういう新しい日本をつくるのか、真剣な「探求」の途上にあるのが、いまの国民の多数の状況だと思います。

 この「探求」に、正面からこたえる論戦を行おうではありませんか。国民の切実な要求や関心から出発しながら、どんな問題でも前向きな答えを得ようとすれば、「財界中心」、「軍事同盟中心」という「二つの政治悪」を正すことが必要になってくる。そして、「国民が主人公」の新しい日本に進むことが求められてくる。このことが、論戦を通じておのずと明らかになっていくような努力をお互いに図りたいと思います。

 いま、沖縄の普天間基地の問題が、国政上の熱い焦点となっております。先日、米国のゲーツ国防長官が来日して、たいへん強圧的な言動を繰り返しました。そうしましたら、外務大臣からは、「県外(移設)は考えられない」、すなわち“県内たらい回ししかありえない”という発言が出てまいりました。これは、民主党が選挙中にのべていた「県外移設、国外移設」という公約・方針に照らしても、説明のつかないことであります。

 鳩山首相は、「沖縄県民の意思を尊重する」ということを繰り返していますが、県民の意思の尊重ということであったら、もう答えははっきり出ているわけです。この問題がもちあがってから、13年間、新基地建設のための杭(くい)一本打たせてこなかった。この事実そのものが県民の断固たる意思を示しているのです。

 アメリカは核兵器の問題などでは前向きの変化がおこっているけれども、日米関係では変化はおこっていません。それは、日米関係については変化が必要だとアメリカが思っていないからです。なぜ思っていないかというと、歴代の自民党政治があまりにも卑屈な対米追従外交を続けてきたからです。だから、日本という国は、強圧的にモノをいえば、何でもいうことを聞く国だと思っているわけです。

 そのアメリカの姿勢を変えようとすれば、沖縄県民、日本国民の立場に断固として立った、本腰を入れた対米交渉が必要です。これなしに、相手を動かすことはできません。そういう本腰を入れた対米交渉こそいま必要なのだということを、私は強く求めたいと思います。

 アメリカの顔色をうかがったり、アメリカの強圧的な態度に屈したりする態度をあらため、「基地のない沖縄」を目指す沖縄県民の願いに立って、断固たる対米交渉を行え――このことを新政権に強く求めていこうではありませんか。(拍手)

 こういう論戦を通じて、私たちが目指す「国民が主人公」の新しい日本の姿がおのずとみえてくるような努力を、お互いに心がけたいと思います。

 私たちの「建設的野党」としての真価が問われる最初の舞台となる大事な臨時国会です。衆参の国会議員団が秘書団と力を合わせ、そして何よりも草の根の運動と連帯して、わが党の真価を発揮する大奮闘をやろうではありませんか。ともにがんばりましょう。(拍手)



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