2009年10月28日(水)「しんぶん赤旗」
イラク連続自爆テロ
米軍撤退に影響か
議会選挙 ずれ込む可能性
【ワシントン=西村央】イラクの首都バグダッドで25日に政府庁舎が連続して自爆テロ攻撃にさらされたことをめぐり、治安の悪化で、来年1月に予定されているイラク国民議会選挙の日程がずれ込み、来年8月とされている米戦闘部隊の撤退日程にも影響する可能性があるとの見方が米国内で出ています。
現在イラクに駐留する米軍は12万人。オバマ政権は来年8月末までに戦闘部隊を撤退させ、イラク治安部隊の訓練などにあたる5万人にまで部隊の規模を縮小する方針を打ち出しています。
そのための必要条件となっているのが国民議会選挙の実施です。26日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「米軍は選挙終了後、30〜60日の間に撤退のペースについて検討する。選挙の遅れは、速やかな撤退実施に影響する」と指摘。マリキ政権の治安維持能力への懸念が強まり、空転している選挙法審議などが難航した場合、議会選挙の遅れはそのまま撤退の遅れにも連動する可能性に触れました。
米政権内では、イラクからの米軍撤退を織り込みながら、アフガンへの増派を含む新戦略が検討されています。しかし撤退が遅れれば、その前提が崩れることになります。
連続自爆テロの犯人像について、イラク政府は、旧フセイン政権のバース党の協力者で、隣国シリアにこれら勢力が潜伏しているとの見方を示し、他国の介入についての調査を国連に要請しました。
これについて、米国務省のケリー報道官は26日の記者会見で、国連がイラク政府の申し立てにもとづいて調査官を派遣することに賛意を表明。外国勢力関与の可能性については、「なんらかの関与を示すような情報は持ち合わせていない」と述べました。
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