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2009年11月2日(月)「しんぶん赤旗」

主張

インフル流行拡大

国民の不安に応えるべきだ


 国立感染症研究所の調査で、最新の1週間(10月19〜25日)のインフルエンザの推定患者数が約114万人と、初めて100万人を突破したことが明らかになりました。ほとんどが新型インフルエンザの患者と見られます。

 学校の臨時休校やクラス閉鎖も広がっています。重症化し、なくなるケースも相次いでいます。普段の年でもインフルエンザの患者が増える時期を迎え、新型インフルエンザへの対策を強めることが急いで求められます。

ワクチン接種にも不安が

 新型インフルエンザの流行に備えて、ワクチンの接種が医療従事者に続いて、重症化が懸念されるぜんそくなどの基礎疾患(持病)をもつ人や妊婦から、各地で始まっています。しかし、国民の不安は高まる一方です。

 持病などで優先接種になる人でも、特別の通知があるわけではありません。入院中の人やかかりつけの医師がある人はそこで接種が受けられますが、そうでない人や自分が対象者かどうか不明な人は、医師から証明書をもらう必要があります。医師の判断で受けられない人もあります。

 優先接種は持病がある人や妊婦に続いて、1歳から小学校3年生までの小児、1歳未満の小児の保護者や優先接種の対象だがワクチンを接種できない人の保護者などの順で行われます。小学4年生から高校生までの子どもや65歳以上の高齢者はそのあとです。ワクチンの量に限りがあるため、これ以外の一般の人の接種はまだ検討中です。自分がいつ接種を受けられるのか、流行に間に合うのか、不安はつきません。

 ワクチンを接種しても重症化を防ぐだけで感染自体は防げません。だいたい新型インフルエンザは新しい病気なので、ワクチンを接種してもどれぐらいの効果があるかわかりません。逆に副作用(副反応)の懸念もあります。接種費用の負担も重荷です。ワクチンに頼り切らず、うがいや手洗いなど予防に努めることが不可欠です。

 ワクチンの接種は当初2回行うといわれてきました。しかし1回でも効果があるというので、健康な医療従事者は1回だけになりました。13歳未満は2回接種ですが、それ以外はこれから決まります。国民にとってはわからないこと、不安なことがたくさんあります。

 いずれにせよ、新型インフルエンザへの国民の不安に応えるために、十分な情報を提供し、手遅れにならないようにしていくことは政府の責任です。ワクチン接種についてだけでなく、新型インフルエンザの症状や感染予防策、治療法などについて、マスメディアや行政機関などを通じた周知徹底は、まだまだ不足しています。

医療体制立ち遅れるな

 重大なのは、すでに流行が始まった地域で、感染の疑いがある人が病院に殺到し、治療が満足に行えないなどの事態が起きていることです。国民の側にもまず電話で相談するなどの対応が求められますが、感染のピーク時にも対応できるよう必要な医療体制を整えることは、国や自治体にとって、最優先の課題です。

 新型インフルエンザは、子どもを中心に流行が一気に広がり、治療が遅れれば重症化する恐れもあります。人命を守るため、対策を尽くすことが重要です。



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