2009年11月4日(水)「しんぶん赤旗」
温暖化対策に必要な「公的協定」とは?
〈問い〉日本共産党は、温暖化対策には政府と経済界の公的協定が必要だと述べています。どんな内容ですか。(兵庫・一読者)
〈答え〉日本の温室効果ガスの排出状況は、発電所や製鉄所などわずか166の巨大事業所(企業数ではなく施設数)が総量の50%を占めています。家庭は自家用車を入れても11%にすぎず、7割は企業関係の大規模施設からの排出です。
ところが日本の温暖化対策は、政府が財界いいなりに、日本経団連の「自主行動計画」をその柱にすえてきました。「自主行動計画」では、何の削減義務も負わず、業界ごとの目標設定の仕方もばらばらで、目標を達成したといいながら総排出量が増えている業界さえあります。
ヨーロッパの主要国では、政府が、温室効果ガスの削減目標を達成するために産業界との間で公的な協定を結んでいます。
ドイツの産業界は当初、2012年までに21%削減という自主目標による自主規制方式を採ってきました。しかし環境保護団体などの強い批判で、2000年に政府と19の産業団体の間で協定が締結されました。協定は、自主目標に上乗せした削減目標を打ち出しています。
イギリスの気候変動協定の場合、政府と50以上の産業分野ごとに結ばれ、約6千の企業が参加しています。高い削減目標を持ち、GDP(国内総生産)を増大させながらCO2の排出を減らす実績をあげています。
いずれも協定に参加している企業は、環境税減税などの優遇措置が実施され、目標超過した削減分を売買する排出量取引制度も組み合わせ、排出量を減らす重要な施策となっています。協定を守らない企業には税金の優遇を認めないなど厳しい措置をとり、目標の順守を図っています。日本の財界は削減目標の義務化に反対しますが、イギリスの協定にはトヨタや日産、ホンダ、NEC、パナソニックなどの大企業が参加しています。
日本共産党は、EUの実績のある経験に学び、日本でも公的削減協定を導入し、大企業に温室効果ガスの削減目標を明確にさせ、責任をもって達成するよう提案しています。 (惇)
〔2009・11・4(水)〕